しじみなる日常

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ひとつひとつは小さな蜆(しじみ)でも、蜆汁になったときの旨みは格別な幸せをもたらしてくれます。私の蜆汁は「クラシック音楽」。その小さな蜆の幸せを、ひとつひとつここで紹介できたらなあと思っています。

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ベートーヴェン弦楽四重奏曲第1番ヘ長調op.18-1
アマデウス弦楽四重奏団の1958年4月12日、大阪朝日ホールでのライブ録音です。

 

この演奏、いいです。何ともステキです。
60年近く前のライブ録音なので音はあまり良くないのですけど、それでもエネルギッシュな演奏に、その場にいなくてもテンションは上がります。

 

ベートーヴェンは1798年から1801年の間に6曲の弦楽四重奏曲を作っています。
この第1番の完成は1799年6月のこと。その後もあれこれ手を加えて1801年に出版しています。

 

第1楽章Allegro con brio。ウィーンの街中を弾むような足取りで歩いていくベートーヴェンの姿が見えるようです。
堂々としていて、自信に満ちている。少々傲慢なほど。(でも私はこういうベートーヴェンが大好きです。)
眼に映るものすべてがキラキラと輝き、自分を祝福してくれる、そんな青春が彼にあったことを強く感じさせてくれる音楽です。

 

第2楽章Adgio affettuoso ed appassionato 。この楽章はベートーヴェンが「『ロメオとジュリエット』の墓場の場面を考えていた」と語ったとか。
恋の憂いを感じさせる音楽ですが、少し意地の悪い言い方をすれば、「恋に恋してる」音楽。
ベートーヴェンの恋情への強い憧れを感じさせます。

 

1799年は、5月にテレーゼとヨゼフィーネのブルンスヴィック伯爵家の姉妹にピアノのレッスンをした年。ヨゼフィーネは後のダイム伯夫人です。
この姉妹との出会いが第2楽章の作曲に影響を与えたのか否か。気になるところです。

 

第3楽章Scherzo:Allegro molto。ベートーヴェンの茶目っ気たっぷりの楽章。
仲間うちで冗談を口にするベートーヴェン。些細なことを大仰に言い立てて笑いあってるみたい。
快活で本当に楽しそう。

 

第4楽章Finale:Allegro。何とまあガッツに溢れた楽章でしょう!
ものすごくバイタリティがある、というか前のめりでガツガツした印象。
五線譜を前に、すごい勢いでペンを走らせているベートーヴェンの姿が浮かびます。
また、アマデウスSQが、聴いている人に息つく暇も与えぬほどの白熱した演奏をするのです。ついつい肩に力が入ってしまいました。

 

アマデウス弦楽四重奏団。ドヴォルザークもそうでしたが、いまの私の耳にとても馴染む演奏のような気がします。
気迫に満ちながら、キラキラした光彩を放っている。

その時の作曲家の気持ちもよく分かるような気がするのです。


このカルテットのベートーヴェンは、第2番以降どんなふうに変化していくのでしょう。
ついつい気になって衝動買いしちゃいました(笑)↓

 

 

String Quartets String Quartets
 
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これからじっくり聴いていきたいと思います。

 

それにしても!ようやく少しベートーヴェンの弦楽四重奏の扉が開いたような気がしてます。

 

ノーバート・ブレイニン(1st violin)
ジークムント・ニッセル(2nd violin)
ピーター・シドロフ(viola)
マーティン・ロヴェット(cello)