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原油価格100ドル超へ 日本の実質GDP、物価への影響を過去の事例から試算 野村総研・木内登英さん原油価格100ドル超へ 日本の実質GDP、物価への影響を過去の事例から試算 野村総研・木内登英さんのイメージ

米国とイスラエルによるイラン攻撃で中東情勢が緊迫化し、金融市場の不透明感が高まっています。原油価格の上昇は、日本経済にどのような影響を与えるでしょうか。野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英さんに聞きました。

まず1つ目が楽観的なシナリオで「軍事衝突が比較的限定されるケース」です。WTI原油価格の想定は1バレル77ドルで、米国とイスラエルによるイラン攻撃が起こる前と比べると、10ドル程度の上昇幅で収まるものです。この原油価格の上昇幅は、2025年6月に米国がイラン攻撃を実施したときのピークの上昇幅に相当します。当時は3つの核施設に絞った1回限りの攻撃でした。

実際のガソリン価格に波及してくるまでには、1ヶ月程度の時間がかかると見込まれます。このシナリオの場合は、国内のガソリン価格は1リットル当たり180円を超え、この1年間の実質GDP(国内総生産)への影響は0.09%の押し下げ効果がある一方、物価への影響については0.16%の押し上げ効果があると想定しました。このシナリオの場合、日本経済、物価への影響は比較的軽微でしょう。

2つ目がメインシナリオで、「軍事衝突が激化・長期化し、ホルムズ海峡の原油輸送に支障が生じるケース」です。このシナリオでは、イランはホルムズ海峡を完全封鎖はしないものの、同地域での軍事活動によって原油輸送に一定程度支障が生じ、それが長期化することを想定しました。例えば、半年以上長期化する見通しが強まると、原油価格は20ドル上昇し、1バレル87ドルを想定しました。この水準は2024年にイランとイスラエルの間に直接的な攻撃の応酬が生じた際の原油価格のピークです。

原油価格が20ドル上昇すると、ガソリン価格は200円を超え、日本のGDPへの影響は0.18%の押し下げ効果、物価への影響においては0.31%の押し上げ効果があると想定しました。それなりに日本経済・物価に影響が出てくるというメインシナリオです。

3番目の「中東地域全体に軍事衝突が拡大し、ホルムズ海峡が完全封鎖されるケース」は実現する可能性が低いと思いますが、原油価格が2倍以上、国内ガソリン価格が300円を超える最悪シナリオに近い悲観シナリオです。原油価格がリーマンショック前の2008年の最高値である1バレル140ドルまで上昇することを想定しました。日本の実質GDPには0.65%の下押し効果を想定しています。日本の経済成長率の年平均と比べるとインパクトは大きく、景気後退になる可能性が出てくるでしょう。物価はもう一段上がってしまうことで、スタグフレーション(景気停滞と物価上昇が同時に進む状態)の様相が強まることが予想されます。