◤◢◤◢⚠︎注意⚠︎◤◢◤◢

こちらはBL要素を含む
お話となっております

苦手な方
受け付けられない方は
華麗にスルーでお願いします🙇‍♀️






お爺ちゃんが持ち込んだ 
大ちゃんからの贈り物は 
その日の内に主役の座をもぎ取り 

会長が絶賛したという絵は 
何故か展示会場の先頭に飾られたと聞いた。 

「見に行ってもいい?」 

『貴方、仕事中でしょ?サボってる暇あんの?』 

「でもっ……一応把握しときたいし。」 

『先生もダメってさ。当日までにこっちで全部処理するから大丈夫です。じゃ、忙しいんで。』

「あ、ちょっとっ?!」 

カズくんにやっと繋がったと思ったら 
数十秒で切られた電話。 

日の暮れかけた空に 
線を描く飛行機雲を眺め
溜息を吹きかければ 
微かにガラスが曇り新たな雲が浮かぶ。 

何でも内緒って言われたら 
僕のいる意味はやっぱり 
ただの飾り物なんだって思わされ 

卑屈になってる場合じゃないけど 
マイナスな考えにしか辿り着けなくて 
益々増える溜息の雲。 
これと言って急ぎの仕事も無く 
だったら美術館に行っても 
咎められないはずだけど 

そういう時に限って 
どうでもいい用事が降って湧いてくるんだ。 

控えめなノックに続き 
顔を覗かせたのは秘書室長の桂さんで 

本日19:00に本宅へ来るようにと 
咲坂さんから連絡が来たらしく 
理由は聞かず『分かりました』と返事をした。 

本宅に呼ばれたって事は 
会長の利益に繋がる取引先や人物への 
接待役を求められてるだけ。 

ある意味 
僕の持っているスキルを 
評価してくれてるんだけど 
ただそれだけの話だ。 

利用したいならすればいい。 

会長の自己満足のためだけに 
奉仕するのは嫌だけど 

ホテル事業の利益に繋がるなら 
あの嫌味な態度も我慢出来るし 
緑桜の名に誇りを持って集まってくれた 
かけがえのない人達に恩返しが出来るから。 

貴方は僕の存在を 
都合のいい人形だと思ってるだろうけど 
ビスクドールにだって 
それくらいの意地はあるんだよ。 

未だに慣れない椅子に腰掛け 
『それから…』と話を続ける桂さんに 
漠然とした不安を覚え 
デスクの上でキュッと指を組んだ。 

「咲坂が会長とのお約束の前にお話したい事があるそうで、あと5分程で、こちらに着くそうです。」 

 「もしかして、個展の話……ですか?」 

 「いえ、そちらは問題無いようですので、別件だと思いますが。」 

個展の話かと思って身構えたけど 
そうじゃないと分かってホッとした反面 
それ以外の話って何なんだろうと 
今度はそれが気になり始めた。 

 「では、到着しましたら、お知らせします。」 

咲坂さんが 
勝手にここまで来るのは分かってて 
知らせるなんて言うから 

やっぱり何かあったのかもと 
少し呼吸が乱れる。 

出ていく背中を見送りながら 
何となく嫌な予感がして 

僕はまた立ち上がり 
雲が増した夕暮れ近い空へと 
重苦しい雲を吐き出した。 


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きっかり5分後に連絡が来て 
咲坂さんが強ばった表情をして 
部屋に入ってきた。 

挨拶もそこそこに 
咲坂さんはタブレットに目を向け 
僕の存在を忘れたかのように 
指を滑らせタップを繰り返す。 

「あの……咲坂さん?」 

顔も上げずに僕を片手で制し 
更に何分かその状態が続いた後 

「先にお知らせすべきだと思いまして……。」 

表情も硬く 
声色まで硬く緊張した響きで
窓辺に立ったままの僕をじっと見据えた。 

「っと……何かあったんですか?」 

マヌケな質問だと思いつつ 
でも全く心当たりもない僕からしたら 
そう聞くしかなかったんだ。 

「社長、これを……。」 

一瞬だけ迷いを見せた咲坂さんは 
大股で窓辺に歩み寄ると 
タブレットを僕の前に差し出した。 

「え……な、に、これっ?!」 

「今、記事の差し止め請求の手続きをしていますが、万が一の時はお覚悟を……。」 

会長が僕との契約の証として 
封じ込めたはずの話が 
赤裸々に誌面で語られているのを 
目の当たりにして 

真っ先に考えたのは 
翔さんや理沙さんたちへの影響だった。 
「覚悟って……僕はいいけど、彼は?!それにみんなも巻き込まれる!!約束したのにどうして?!」 

「分かってます。会長にも連絡が行ったはずですし……とにかく落ち着いて下さい。」 

約束なんてあってないようなモノ。 

信じちゃいけない人を信じたせいか 
それとも僕の存在が必要無くなったか。 

読者を煽り 
誤解を招く様な見出しに心が冷え 

と同時に父からの呼び出しの理由が 
そこにあるのなら…と思った瞬間 
ヒュッと喉が詰まり 
襲い掛かる息苦しさが胸を喘がせた。 

こんな事で動揺してる場合じゃない。 
何があっても守り抜くって決めたはず。 

翔さんの未来も 
理沙さんや潤くんの幸せも 
カズくんや大ちゃんの優しさも 

全部自分の力で守り通さなきゃ 
僕はワガママで臆病な子どものままだ。 

「社長っ!?誰か……」 

「大…丈夫です、からっ。すぐ……治まります。」 

身体を支え 
人を呼ぼうとした咲坂さんを制止して 
僕は何とか呼吸を整えた。 

「そろそろ……時間、ですよね?」 

「え、ああ…そうですが、この状態では身体に障りますっ。」 

「いえ、行かなきゃ余計に拗れそうですし……ちゃんと話をしなくちゃダメだから。」 

支える腕をそっと拒むと 
一瞬だけ悲しげな顔をして 
僕から離れた咲坂さん。 

「万が一の時はご隠居に連絡します。よろしいですね?」 

万が一って…… 

もうずっと万が一でしかないよ。 

光が見えたかと思ったら 
またどん底に突き落とされて 
更に真っ暗闇に引きずり込まれるみたいで 

これが万が一じゃなくて 
何なんだって話だ。 

それでも 
自力で這い上がれなきゃ 
ここに来た意味も続けてきた意味も 
全部が否定されちゃうから……。 

拒絶の意味も含め 
首を縦にも横にも振らず 
じっと咲坂さんの目を見据える。

「……分かりました。ったく…相変わらず頑固なお人だ。」

ため息混じりに静かに笑った後
咲坂さんは真顔になり小さく頷くと
僕を促すようにゆっくりと
ドアに向かって歩き出した。



𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄



おはようございます😊
SNOWです。


これまた大事件!!


ス〇リングセンテンスみたいなトコに
すっぱ抜かれたようですガーン


とは言ったものの。


前の話をお読みくださった方なら
色々お気づきだとは思いますが
要するにそういう事です…ハイ😢


決して虐めたい訳ではなく
寧ろ救いたいと願う強い気持ちが
そうさせているわけで……。


カクテルやお酒の話が
一滴も出てこない物語になってますが
あと少しだけご辛抱くださいませ🙇‍♀️


今日から6月
.*🍃💠 𓂃𓈒𓏸︎︎︎︎⁡ ͛.*🍃💠 𓂃𓈒𓏸︎︎︎︎⁡ ͛.*🍃💠 𓂃𓈒𓏸︎︎︎︎⁡

梅雨の時期ですが
雨上がりの虹を待ちながら
ゆったり穏やかに
日々過ごせたらいいなぁ〜😊🌈


ではでは(*>∀<)ノ))またねー
SNOWでした雪の結晶