$脳を開けても心はなかった: 正統派科学者が意識研究に走るわけ 

単行本 

青野由利 (著)

 

 

 

 

 

$解説

分子生物学、脳科学、量子論、複雑系、哲学、さらに最先端のAIまで、
意識研究の過去から近未来までを展望。

「意識」に代表される生命現象のすべては、物質レベルで説明できるのか。
意識研究に挑んできた世界の天才・秀才科学者たちの心の内を、
日本を代表する科学ジャーナリストがインタビューや資料から読み解く。

ノーベル賞科学者に代表される正統派科学者が、脳と心の問題にハマるのははぜか。
その理由から浮き彫りになる現代最先端科学の光と影。

 

$読者レビューより引用・編集

『脳を開けても心はなかった――正統派科学者が意識研究に走るわけ』(青野由利著、築地書館)では、世界の意識研究の過去・現在・未来が考察されています。

個人的に、とりわけ興味深いのは、●機械論的な決定論への賛否、●AIは意識を持つかの論争、●意識研究者の派閥――の3つです。

●機械論的な決定論への賛否
▶機械論的決定論(ルネ・デカルト、アイザック・ニュートン)
▶反・機械論的決定論(アルバート・アインシュタインの相対性理論、ヴェルナー・ハイゼンベルクの不確定性原理、クルト・ゲーデルの不完全性定理)

因みに、私は「世界は自然の法則に従って動いている巨大な機械」という機械論的決定論を支持しています。

●AIは意識を持つかの論争
AIが意識を持つ、持たないの論争を俯瞰的に眺めて、私は「AIは意識を持たない」と考えるに至りました。

面白いのは、著者がチャットGPTに「チャットGPTは意識を持つことがあるか?」と聞いていることです。その答えは「生成AIは人間のような主観的な意識を持つことはない」というものでした。

●意識研究者の派閥
▶「あなた(意識)って、神経細胞の塊にすぎないのよ」派(フランシス・クリック、クリストフ・コッホら)
▶「問題はむずかしい」派(デビッド・チャルマーズら)
▶「コンピュータだって意識を持つ」派(ダニエル・デネット、マービン・ミンスキーら)
▶「認知心理学」派
▶「複雑系創発」派(アーウィン・スコットら)
▶「量子力学」派(ロジャー・ペンローズ、スチュワート・ハメロフら)
▶「神秘主義」派
▶「超心理学」派

 

 


出版社より

脳 書影

はじめにより抜粋

(前略)

だが、もうひとつ、ペンローズとノーベル賞が結びついていなかった理由がある。

私にとってのペンローズは、「量子脳理論」の提唱者であり、ノーベル賞が象徴するような「正統派科学」からは一歩踏み出した(もしくは、はみ出した)科学者だったからだ。

心や意識を生み出しているのは脳の量子力学的な過程である──。これがペンローズの量子脳理論の提案である。

特に彼が注目するのは量子力学と相対性理論を結びつけた量子重力理論だ。さらに、意識の発生に関わる脳の器官として「微小管」を提案していた。

詳しくは本文に譲るが、この理論を知った時には、「ええ!」と思った。

ペンローズ先生、いくらなんでもそれは無茶では? という気分だった。

なぜなら、微小管は体のどこにでもある小器官で、それが深遠な意識や心を生み出しているとは、とても信じられなかったからだ。

だが、実のところ、「心や意識」の問題で「ええ!」と思うような説を唱える天才・秀才科学者はペンローズ一人ではない。

正統派科学で功成り名遂げた後に、意識や心の問題にはまる科学者は、思った以上に多い。いったい、それはなぜなのか。(後略)

主な目次

1章 20世紀の科学の勝利とほころび

2章 ノーベル賞から「意識」へ

3章 哲学? いや科学で解こう

4章 「AIは意識を持つか」論争

5章 複雑系は還元主義の限界を突破できるか

6章 ノーベル賞科学者が意識研究に走るわけ

 

商品の説明

著者について

科学ジャーナリスト。
毎日新聞で生命科学、天文学、宇宙開発、火山など幅広い科学分野を担当し、論説委員やコラムニストを務めた。
科学報道を牽引してきた業績で2020 年度日本記者クラブ賞受賞。

東京生まれ。東京大学薬学部卒。東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了。
フルブライト客員研究員(MIT・ナイト・サイエンス・ジャーナリズム・フェロー)、
ロイター・フェロー(オックスフォード大学)。

著書に『生命科学の冒険─生殖・クローン・遺伝子・脳』『宇宙はこう考えられている─ビッグバンからヒッグス粒子まで』
『ニュートリノって何?』(いずれもちくまプリマー新書)、
科学ジャーナリスト賞を受賞した『インフルエンザは征圧できるのか』(新潮社)、
本書のもとになった『ノーベル賞科学者のアタマの中─物質・生命・意識研究まで』(築地書館)、
講談社科学出版賞を受賞した『ゲノム編集の光と闇─人類の未来に何をもたらすか』(ちくま新書)等。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 築地書館 (2024/2/13)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2024/2/13
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 280ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 480671660X
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4806716600
  • 寸法 ‏ : ‎ 13 x 1.9 x 18.8 cm