$Twelve O'Clock high 1949

 

 

 

 

$『頭上の敵機』(ずじょうのてっき、Twelve O'Clock High)は、1949年アメリカ合衆国戦争映画監督は ヘンリー・キング。アメリカの第二次世界大戦参戦初期にナチス・ドイツ及びナチス・ドイツ占領下のフランスに白昼爆撃を敢行したアメリカ陸軍第8空軍の兵士を描いた本作は、1948年のサイ・バートレット英語版)、バーン・レイ・Jr英語版)作の小説『Twelve O'Clock High』を、原作者であるバートレットとレイ、ヘンリー・キング(クレジット無し)監督が脚本を担当し、グレゴリー・ペック、 ヒュー・マーロウゲイリー・メリルミラード・ミッチェルディーン・ジャガーらの出演で映画化した作品である。

『頭上の敵機』は第22回アカデミー賞で4部門にノミネートされ、ディーン・ジャガーが助演男優賞を、トーマス・T・モールトン録音賞を受賞している。1998年アメリカ議会図書館アメリカ国立フィルム登録簿に文化的、歴史的、芸術的に顕著な作品として登録されている。

ストーリー

B-17爆撃機

1949年イギリスで休暇中のアメリカの弁護士で元アメリカ陸軍航空軍のハーヴィ・ストーヴァル(ディーン・ジャガー)は、ある骨董品店のショーウインドウにみなれたトビー・ジョッキ(老人の顔を象った陶器製のビアジョッキ)を見つける。ストーヴァルは店主からそのトビー・ジョッキがイギリス空軍とアメリカ陸軍航空軍の飛行場がかつてあり、ストーヴァルが第2次世界大戦中に第918航空群の一員として勤務したアーチベリーで手に入れられたものであることを知る。そのジョッキはストーヴァルのよく知るものそのものだった。ストーヴァルはそのジョッキを買い求め、列車と自転車で滑走路誘導路管制塔、事務所を残したまま今は牧草地として利用されているアーチベリー飛行場跡へと向かった。ストーヴァルがアーチベリー時代を思い出しながら、時間は1942年にさかのぼり、映画は本編に入る。

第918航空群はアメリカ本国からイギリスに移駐してアメリカ軍の白昼爆撃に投入された。ドイツの対空砲火とドイツ空軍戦闘機による被害が甚大となったことにより士気が低下、目標破壊失敗も相次いだことから、「不運な航空群」との評判をとるようになっていた。第918航空群の航空司令キース・ダヴェンポート大佐(ゲイリー・メリル)は指揮下の兵士たちと親密になるあまり、航空群内の士気を向上させる手が取れないでいた。爆撃精度向上のため低空での作戦が命令されたとき、その危険性の高さからダヴェンポート大佐は司令部に駆け込み、彼の旧友でもあるフランク・サヴェージ准将(グレゴリー・ペック)と作戦方針について対立する場面もあった。ダヴェンポート大佐のこの様な行動を見たサヴェージ准将は、第8空軍司令官パトリック・プリチャード少将(ミラード・ミッチェル)の部屋を訪ね、ダヴェンポート大佐が航空司令として不適格であると進言する。プリチャード少将はサヴェージ准将の進言を容れ、ダヴェンポート大佐を解任、第918航空群の航空司令にサヴェージ准将を据えた。

規律維持のためサヴェージ准将は指揮下の全員に対して厳しく臨み、指揮下兵士から嫌われるようになったうえ、サヴェージ准将の厳格なリーダーシップに驚いた第918群の操縦士全員が異動願を出す事態となる。サヴェージ准将は航空群の副官であるストーヴァル少佐に時間稼ぎのために異動願の処理を遅らせるよう頼み、ストーヴァル少佐は「お役所仕事」は時間がかかるもの、と応じる。厳しい再訓練のあと第918航空群は戦列に復帰したが、サヴェージ准将自らがB-17爆撃機に搭乗して出撃、他の航空群が悪天候による帰還命令に従って帰還する中、無線機の故障により第918航空群が単独で爆撃、1機も失うことなく目標の破壊に成功した後、指揮下兵士のサヴェージ准将に対する態度に変化が見られるようになった。

無線機の故障を口実に帰還命令を無視したことをプリチャード少将がサヴェージ准将に詰問したが、サヴェージ准将はそれに屈することなく、単独で目標を破壊した戦果でプリチャード少将に第918航空群を表彰するよう求めた。監察官が第918航空群の異動願滞留などの問題を確認するため到着した際、サヴェージ准将は解任を覚悟して荷づくりを行っていたが、兵士全員が異動願を取り下げ、サヴェージ准将は現職にとどまることになった。隊員とともに作戦に参加するうち、かつてダヴェンポート大佐がサヴェージ准将を訪ねた際に忠告した通り、サヴェージの兵士に対する態度も軟化していった。第918航空群のバーの暖炉にはあのトビー・ジョッキがあった。

航空戦がドイツ深部に及ぶにつれ、ドイツ軍の迎撃も厳しくなり、作戦行動距離が延びたことと併せて白昼爆撃のリスクも増大していた。サヴェージ准将配下のコッブ少佐、ビショップ中尉を含む優秀な搭乗員たちが失われていった。プリチャード少将は第8空軍本部にサヴェージ准将を戻すよう画策したが、サヴェージ准将は第918航空群がサヴェージ准将抜きでは成り立たないことを理由に異動に応じず、プリチャード少将も渋々サヴェージ准将の意見を容れざるを得なかった。

しかし、最も危険な作戦の出撃直前、B-17に乗り込もうとした時にサヴェージ准将は突然心身が不安定となり、B-17に搭乗するために体を引き上げることが出来なくなったため、サヴェージ准将抜きで第918航空群は作戦に参加して行った。航空群が帰還するのを待つ間にサヴェージ准将はカタトニー(緊張病)とみられる状態になったが、第918航空群が目標を破壊し、比較的軽微な損害で帰還したとき、サヴェージ准将は落ち着きを取り戻し、親友であり、かつて第918航空群率いたダヴェンポート大佐の見守る中、眠りに落ちていった。

 

@https://www.imdb.com/title/tt0041996/