$科学忍者隊ガッチャマン

 

 

 

 

 

$『科学忍者隊ガッチャマン』(かがくにんじゃたいガッチャマン)は、タツノコプロが制作したSFアニメ世界征服を企む秘密結社ギャラクターと戦う、5人の少年・少女で結成された科学忍者隊の活躍を描いた作品。

2015年時点、「ガッチャマン(GATCHAMAN)」を冠する派生作品は以下7+1作品。

本項では、テレビアニメ第1作『科学忍者隊ガッチャマン』とそのバリエーション、およびリメイク版であるOVA作品『GATCHAMAN』について扱う。

ストーリー

国際科学技術庁(ISO)のウラン貯蔵庫が、の姿をした巨大な怪獣型ロボ(鉄獣メカ「タートルキング」)に襲撃されウランを強奪される事件が発生した。地球征服を狙う謎の秘密結社「ギャラクター」による犯行だ。

ISO「マントル計画」主任である南部博士は、この危機に対して対ギャラクター用に密かに結成していた特殊部隊「科学忍者隊」を出動させる。忍者隊の活躍で「タートルキング」は破壊され、ギャラクターの目論見は潰えたかに思えたが、それは科学忍者隊とギャラクターとの長きにわたる戦いの序幕に過ぎなかった。

科学忍者隊は次々と新手を繰り出すギャラクターのテロ攻撃に、時には生身で、時には大型戦闘機「ゴッドフェニックス」で立ち向かって行く。

作品解説

テレビアニメ版は1972年10月1日から1974年9月29日までフジテレビ系で毎週日曜日18時00分から18時30分に全105話が放送された。2年間の平均視聴率は約21%(タツノコプロの保存資料によると平均視聴率17.9%、最高視聴率は第53話の26.5%)。本作品の成功により、『新造人間キャシャーン』『破裏拳ポリマー』『宇宙の騎士テッカマン』といった変身ヒーローによるSFアクション物が続き、タツノコプロの一つの路線を構築した代表作である。人気や知名度の高さからその後、映画版や続編、OVAも制作された。

タツノコプロ企画文芸部の鳥海尽三と陶山智によって企画が練られた。鳥海によると、『忍者部隊月光』『世界少年隊』といった吉田竜夫漫画は特に意識したわけではないというが、結果的に少年少女によるチームが敵と戦う構成は踏襲することになった。一方、プロデューサーの九里一平は前述の2作をベースにしたとし、「太平洋戦争が舞台の『忍者部隊月光』では夢がないので科学忍者とした」と述べている吉田竜夫と九里一平のデザインによる斬新なコスチュームと劇画タッチで個性溢れるキャラクター、SF作家小隅黎柴野拓美)によるSF考証、さらには中村光毅のデザインしたメカニックとそれを演出した本作品が監督デビューになる鳥海永行によるメカ描写が当時としては未来的でリアルな物であったため、その後のSF・ヒーローアニメの方向性に多大な影響を与えている。

当初は巨大メカと戦う低年齢向けのアクション物として開始したが、公害科学戦争などの現実的でシリアスなテーマ、肉親の情や過去といったドラマ性など、子供向けアニメの枠に収まらないエピソードが人気を呼んだ。PCB原子力船など当時の社会問題を素材に用いた回もあるほか、敵組織ギャラクターが科学忍者隊を出し抜き勝利を収めたり、作戦そのものは失敗するも1つの都市を壊滅させたりなど、主人公側の敗北という通常なら考えられない展開も多かった。視聴率は高かったため当初1年間の放送予定が2年に延長され、タツノコプロを代表する作品となった。

当時のタツノコプロには実写用カメラが装備されており、実写映像やオプチカル合成のシーンも随所に採用されている。オープニング冒頭に登場する地球は、質感を出すため調理器具のボウル紙粘土で覆い、その上にを描いたものを撮影している。発案は撮影の細野正、描いたのは美術設定の中村光毅とされる。

連続テレビアニメでありながら、1話あたりのセル画枚数は平均5千から6千枚に及び、1万枚を超えた驚異的な回もあった。第1話「ガッチャマン対タートル・キング」は特に秀逸とされ、怪獣映画のスケール感があると評価された[4]。後のオリジナルビデオアニメ版でこの回のリメイクが試みられている。作画面では同じく劇画タッチだった『アニメンタリー 決断』から引き続き、作画監督の宮本貞雄をはじめ、須田正己湖川友謙、加藤茂らが参加。さらに前番組の『いなかっぺ大将』から二宮常雄らが加わり『決断』での経験も活かされ、リアルタッチの作画でタツノコプロの名を高めた。