$Hell and High Water 形式: Blu-ray

 

 

 

$Hell and High Water

形式: Blu-ray

 

 

 

$視聴者レビュー引用・編集

仕様も生産国もメディアも異なる商品頁のレビューが共有されているがASIN:B000RWDYAE、EAN:5055201801012、 英import DVD. リージョン2, PAL盤(Optimum社。英語音声。残念ながら英語字幕なし)レビュー。

邦題「地獄と高潮」、原題Hell and High Water、1954年、米、カラー、103分、監督サミュエル・フラー(「拾った女」「裸のキッス」「ショック集団」「最前線物語」等)。リチャード・ウィドマーク、ベラ・ダルヴィ、ヴィクトル・フランサン出演。英語字幕がないため、海外db等で基本設定とあらましを頭に入れ鑑賞。

1953年、冷戦時代。日本北方の海域で核爆発が起こる(この爆発映像は米政府が提供した実際の核爆発らしい(wiki. en.)。そして核の世界的権威の博士(フランサン)が失踪。元米海軍潜水艦長のジョーンズ(ウィドマーク)は謎の人物から東京に呼ばれる。共産国の原子施設が北極海の南方に建設され、不審な貨物船も出入りしているらしい。そして博士は消えたのではなく、この解明に呼ばれ、東京にいた。ジョーンズはしかる筋から、報酬と引き換えに、博士とその美しい助手(ダルヴィ)とともに実態解明の任に就く。そして旧日本海軍の潜水艦をリペアし、元同僚とともに、日本の北、不穏な海域に極秘裏に潜行。核弾頭がからむ第三次世界大戦誘発計画に行き当たる・・。

原題は、前門の虎後門の狼、背水の陣、たとえ火の中水の中、みたいな意味らしいが、「ナバロンの要塞」みたいなテイストではなく、上記の設定の字面から想像するような派手さはない。当時の東西冷戦・極東情勢が背景にあるが、共産圏の国名は明確には描いていない(おそらくCn.)。フラーの真意はわからないが勧善懲悪というわけでもなく、思想・体制憎しというようには描かれていない。ウィドマークに頭にあるのはあくまで核爆発阻止というミッションの遂行だ。フラーはここではやや不徹底ながら、人物の綾の描写と、要求されたスペクタクルあふれる娯楽性のバランスをとっている。

本作の魅力は、まずこの頃Fox社が開発した新方式のシネマスコープの迫力ある。前半は概ね潜水艦の中が舞台だが、そのような狭い場所をうまくスコープで切り取ることに成功している。そしてきのこ雲、北の海・島々や艦どうしの駆け引きなどを降りませながらこれぞスコープという雄大な画作りの後半。本作の海はみなスタジオだそうだ。ミニチュア特撮や特技も今の映画には見られない味がある。潜水艦映画には、例えば「眼下の敵」「Uボート」「深く静かに潜行せよ」「北極の基地 潜航大作戦」「原子力潜水艦浮上せず」「1941」「レッド・オクトーバーを終え!」「クリムゾン・タイド」があるが、本作も外してはならない作品。

もうひとつの見所は他の方もご指摘のように、この潜水艦に若き女性を乗り込ませたこと。これによりユニークな動性・絵面が持ち込まれた。他の潜水艦映画と一線を画する設定だ。潜水艦映画は割と観たが他にない設定と思う。この異質さが本作の肝であり、本作を特徴づける。フラーにはあの有名な発言以外に「カメラを動かすこと、人物を動かすことは必ずしも必要ではない。重要なことは、観客の感情が動くということだ。私はそれをエモーションの映画と呼ぶ」(Garnham, Nicholas, Samuel Fuller. New York: The Viking Press, 1971. p. 34)というものがある。フラーを凡庸な監督と隔てるものは何か。それにはまだフラー作品を観なければならないが、ひとまずそれは本人の上記発言にそのまま表れていると思う。しかし本作は、相対的に他のフラー作品(例えば「拾った女」「ショック集団」「裸のキッス」等)と比して、ひりひりするエモーションはやや控えめ。そんな中でウィドマークの過去の悔恨とその再現のエピソード(ここは「拾った女」のセルマ・リッターのあるシーンを思い出させる)や、ダルヴィが否応なくあることを余儀なくされるシーンなどなどに死の影が漂い、そしてウィドマークとダルヴィの、夜間赤色灯の中での硬質で節度あるラヴシーンに2人の静かなエモーションが息づいている。

代表作を挙げきれない名優ウィドマークはいつもながら自然かつ存在感がある(この人は声も良い)。他方、博士と助手は、設定・役者さんの芝居等やや描写が弱い気がしないでもない(ダルヴィのスキャンダラスな私生活と悲惨な最期、セルズニックとの関係はwikiにある)あくまで相対的にだが。同監督の「東京暗黒街 竹の家」の前に東京を前半の舞台にしている点も我々の気を引くが、特撮同様に主要人物の顔が映るショットはみなスタジオで撮られているようだ。屋外カットは第二撮影班や既存フッテージを使っているのだが、あまり違和感がない(ただ日本の潜水艦やドックにようわからない漢字らしきものが書かれているのはご愛嬌だが・・。また科学的・潜水艦等軍事装備・設備の正確性は詳しい方に譲ります)。撮影は名手ジョー・マクドナルド、音楽は20世紀Foxの総音楽監督であったアルフレッド・ニューマン(44年のドキュメンタリー「The Fighting Lady」の流用)。

観た中だけでいうと個人的にはフラーのベストではないが、無骨な真摯さ、安易で感傷的なヒロイズムに堕することない人の尊厳や意地。異質なものの同居と有機的変化、火器や核描写は迫力で、汗蒸すような艦内の様子も良い。

 

 

登録情報

  • メーカーにより製造中止になりました ‏ : ‎ いいえ
  • 言語 ‏ : ‎ 英語
  • 梱包サイズ ‏ : ‎ 18.03 x 13.76 x 1.48 cm; 81.65 g
  • EAN ‏ : ‎ 0811956021854
  • 字幕: ‏ : ‎ 英語
  • 言語 ‏ : ‎ 英語 (DTS-HD Master Audio 5.1)
  • ASIN ‏ : ‎ B073FSQ63F
  • ディスク枚数 ‏ : ‎ 1

 

 

https://www.imdb.com/title/tt0047073/