$映画「志那の夜」長谷川一夫(主演)李香蘭(共演)

 

 

$『支那の夜』(しなのよる)は、流行歌「支那の夜」のヒットを受けて、1940年(昭和15年)に作られた日本映画である。

概要

東宝の看板スター・長谷川一夫満洲映画協会(満映)の看板スター・李香蘭との共演による「大陸三部作」(『白蘭の歌』『支那の夜』『熱砂の誓ひ』)の2作目。

渡辺はま子の歌う「支那の夜」がヒットしていたことから、東宝映画(現在の東宝)が映画化を企画し、中華電影公司の上海ロケの撮影協力を得て制作された。

上海を舞台に、長谷川一夫扮する日本人貨物船船員・長谷哲夫が李香蘭扮する中国娘・桂蘭を救い、二人の間に恋が芽生えるというストーリーである。メロドラマ・音楽映画・ハリウッド映画・アクション映画・観光映画といった様々な要素を持つ複合型娯楽映画で、中国大陸への関心が高まっていた時期だった事もあり、各地で興行記録を更新。「今年度日本映画第一のヒット」と評価される人気作となった。

この映画に主演した「李香蘭」こと山口淑子は、第二次世界大戦の終戦後、中華民国政府により文化漢奸売国奴)容疑で逮捕されたが、裁判で中国人でないことが証明され、無罪となり国外追放となった。その判決で裁判長から道義上の問題として、中国人の芸名で『支那の夜』など一連の映画に出演した事を問題にされ、山口は謝罪している

あらすじ

船員長谷哲夫と山下仙吉は、上海の雑踏で中年日本人男性と口論になっていた桂蘭という中国娘を救う。実は桂蘭は抗日の中国人で、日本人に恩を受けることを非常に嫌っており、助けてもらった借りを働いて返すと言って、長谷と山下の住むハウス(日本人専用のホテル)に付いてくる。住む家もなく上海の街を放浪していた桂蘭がその汚れを風呂で落とすと、その美しさに長谷は驚き、桂蘭の日本人に対する誤解を解くことを決意する。

実のところ桂蘭は、上海の資産家の娘で、日本の攻撃によって両親も家も失ったことで、日本人を相当憎んでいたのだった。ある日、高熱を出した桂蘭をホテルに住む日本人や、長谷を慕うとし子らが懸命に看病して治すが、桂蘭はその親切を素直に受けようとしないので、長谷は思わずその頬を打ってしまう。桂蘭は自分のひねくれた心を反省し、また長谷への想いにも気付く。

ある夜、桂蘭が、かつて属していた抗日組織に誘拐される。目的は、長谷から軍需物資の輸送計画を聞き出すことだったが、呼び出された長谷は断固として応じない。長谷が撃たれようとしたその時、桂蘭の機転で事態は一転し、駆けつけた警察によって長谷は救出される。このことで、長谷と桂蘭の仲は一気に深まり、二人は結婚することになる。

結婚式の夜、長谷に軍需物資の輸送の指揮を執れという命令が下り、長谷は新婚の妻を置いて出動する。果たして輸送船は、抗日組織の攻撃を受ける。帰りを待つ桂蘭の元に、長谷が亡くなったという知らせが届く。桂蘭は、かつて二人で楽しい時を過ごした蘇州に馬車を走らせ、虎丘で長谷を偲び泣き崩れ、やがて運河の辺で入水自殺を図る。すると、そこに実は助かっていた長谷が馬車で駆けつけ、長谷に気づいた桂蘭と運河に架かる石橋の上で抱き合うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

日本映画傑作全集 「支那の夜」

形式: VHS

商品の説明

キネマ倶楽部の日本映画傑作全集シリーズの一つです。

 

 

 

劇中で使われた歌

主題歌は「支那の夜」。挿入歌として「蘇州夜曲」「想兄譜」がある。渡辺はま子の歌うレコード「支那の夜」の映画化作品だが、映画の中では「蘇州夜曲」とともに「支那の夜」はヒロインである李香蘭が歌っている。「想兄譜」が三浦とし子役の服部富子によって歌われている。

劇中で「支那の夜」を歌った李香蘭にもレコードで「支那の夜」を出すように再三依頼があったが、中国人は枝葉を意味する「支」の字を使った「支那」の名で祖国を呼ばれることに怒っていると知っていた満洲国育ちの李香蘭は、依頼を断った。

作詞:西條八十
作曲:竹岡信幸
歌:渡辺はま子
作詞:西條八十
作曲:服部良一
歌:李香蘭
  • 「想兄譜」(1940年6月発表)
作詞:西條八十
作曲:竹岡信幸
歌:服部富子