$スピノザ よく生きるための哲学
Tankobon Hardcover
by Fr´ed´eric Lenoir (原名), フレデリック ルノワール (著), & 1 more
$解説
ゲーテ、ニーチェ、アインシュタイン――なぜ思想の巨人たちはスピノザ哲学に圧倒的に勇気づけられたのか。17世紀オランダにスピノザの人生をたどりつつ、主著『エチカ』に刻まれた「肯定の思想」を読みといていく。フランスでベストセラーとなった本書は優れたスピノザ入門である同時に、暴走する感情の時代に生きる現代人に、新たな人間像を提示し、深い励ましを送ってくれる。
「彼はその真摯さと揺るぎない一貫性で、その優しさと寛容さで、そして彼が負ったさまざまな傷と苦しみで、私の心を強く動かす。彼は叡智を求めて思索に没頭することによって、心の傷や痛みを昇華させることができた。彼が肯定の思想家であること、人生を否定的に捉える悲観主義に陥らなかった近代の数少ない思想家の一人であること、それどころか人間の生と真正面から取り組み、喜びと至福に至る自己形成の道を提示したことに、敬愛の念を抱かずにはいられない。」(本文より)
目次
はじめに スピノザという奇蹟
I 政治と宗教に革命をもたらした人
1 哲学への転向
2 傷を負った男
3 自由な思想家
4 聖書の批判的解釈
5 スピノザとキリスト
6 ユダヤ教への反逆か
7 啓蒙思想の先駆者
II 叡智を生きた人
1 『エチカ』、至上の喜びへの道案内
2 スピノザの神
3 力能と完全性と喜びを増大させる
4 自分の諸感情を理解する
5 欲望を何に向けるか
6 善悪を超えて
7 自由と永遠と愛
おわりに 私にとってのスピノザ
【付記】ロベール・ミスライとの往復書簡
原注と訳注
参考文献
訳者あとがき
$読者レビューから引用・編集
スピノザの自伝的な記述から始まり、スピノザの著作が17世紀における政治、宗教に与えてきた影響、没後哲学や科学の領域に与えてきた影響などを紹介しながら、スピノザ哲学のポイントを的確かつ端的に説明してくれる本書は、スピノザ理解の入門書としてもおすすめ。
すでに先行するその他の研究書や批評をなぞるような解説も多く感じられたが、本書をユニークにしているのは、スピノザとキリストの思想に共通してみられる普遍性、類似性の指摘の箇所だろう。スピノザはキリスト教徒ではなかったが、確かにスピノザは「神学政治論」などでも、キリストには高い評価を与えている。その内容は本書を読んで頂きたいが、普遍的な思想や倫理とは、人類共通の知=世界の知、すなわち神の知であるということである。
「スピノザは哲学者にとってのキリストである」と言っていたのはジルドゥルーズだが、まさにスピノザは現代思想の先行者、開拓者として、その後の政治思想や哲学のみならず、科学、文学の領域にも影響を及ぼしてきた。
Product description
Content (from BOOK Database)
ゲーテ、ニーチェ、アインシュタイン―なぜ思想の巨人たちは、スピノザ哲学に圧倒的に勇気づけられたのか。人間の、『エチカ』への道がここにある。
Author Biographies (from BOOK Author Referral Information)
ルノワール,フレデリック
1962年マダガスカルに生まれる。スイスのフリブール大学で哲学を専攻し、雑誌編集者、社会科学高等研究院(EHESS)の客員研究員を経た後、長年にわたり『宗教の世界』誌(『ル・モンド』紙の隔月刊誌)の編集長、ならびに国営ラジオ放送局(France Culture)の文化・教養番組『天のルーツ(les Racines du Ciel)』の制作・司会を務めた。最近は「よく生き、共に生きる(Savoir Etreet Vivre Ensemble)ための教育基金」の共同設立者、ならびに「動物たちの幸せを守る会(Association Ensemble pour les Animaux)」の設立者として、その活動にも力を注いでいる
田島/葉子
1951年東京に生まれる。上智大学外国語学部フランス語学科卒業、同大学院仏文学専攻修士課程修了。75年より故ジャック・ベジノ神父の論文やエッセーの翻訳に携わる。99年より十数年間、東京外国語センターのフランス語講師を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
Product Details
- Publisher : ポプラ社 (December 12, 2019)
- Publication date : December 12, 2019
- Language : Japanese
- Tankobon Hardcover : 251 pages
- ISBN-10 : 4591164705
- ISBN-13 : 978-4591164709
- Dimensions : 5.31 x 0.98 x 7.6 inches
- Amazon Bestseller: #305,347 in Japanese Books (See Top 100 in Japanese Books)
- #407 in French & Dutch Western Philosophy
- #1,121 in Introduction to Western Philosophy
Frederic Lenoir
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$バールーフ・デ・スピノザ(Baruch De Spinoza [baːˈrux spɪˈnoːzaː]、1632年11月24日 - 1677年2月21日)は、オランダの哲学者である。ラテン語名ベネディクトゥス・デ・スピノザ(Benedictus De Spinoza)でも知られる。デカルト、ライプニッツと並ぶ17世紀の近世合理主義哲学者として知られ、その哲学体系は代表的な汎神論と考えられてきた。また、カント、フィヒテ、シェリング、ヘーゲルらドイツ観念論やマルクス、そしてその後の大陸哲学系現代思想へ強大な影響を与えた。
スピノザの汎神論は新プラトン主義的な一元論でもあり、後世の無神論(汎神論論争なども参照)や唯物論に強い影響を与え、または思想的準備の役割を果たした。生前のスピノザ自身も、無神論者のレッテルを貼られ異端視され、批判を浴びている。
思想
哲学史上の意義
スピノザの哲学史上の先駆者は、懐疑の果てに「我思う故に我あり(cogito ergo sum)」と語ったデカルトである。これは推論の形をとってはいるが、その示すところは、思惟する私が存在するという自己意識の直覚である。懐疑において求められた確実性は、この直覚において見出される。これをスピノザは「我は思惟しつつ存在する(Ego sum cogitans.)」と解釈している(「デカルトの哲学原理」)。
その思想は初期の論考から晩年の大作『エチカ』までほぼ一貫し、神即自然 (deus sive natura) の概念(この自然とは、動植物のことではなく、人や物も含めたすべてのこと)に代表される非人格的な神概念と、伝統的な自由意志の概念を退ける徹底した決定論である。この考えはキリスト教神学者からも非難され、スピノザは無神論者として攻撃された。
一元的汎神論や能産的自然という思想は後の哲学者に強い影響を与えた。近代ではヘーゲルが批判的ながらもスピノザに思い入れており(唯一の実体という思想を自分の絶対的な主体へ発展させた)、スピノザの思想は、無神論ではなく、むしろ神のみが存在すると主張する無世界論(Akosmismus)であると評している。フランス現代思想のドゥルーズも、その存在論的な観点の現代性を見抜き、『スピノザと表現の問題』、『スピノザ――実践の哲学』などの研究書を刊行している。
代表作『エチカ』は、副題の「幾何学的秩序によって論証された」という形容が表しているように、なによりその中身が如実に示しているように、ユークリッドの『幾何原論』を髣髴とさせる定義・公理・定理・証明の一大体系である。それはまさにQ.E.D(「これが証明されるべき事柄であった」を示すラテン語の略)の壮大な羅列であり、哲学書としてこれ以上ないほど徹底した演繹を試みたものであった。
この著作においてスピノザは、限られた公理および定義から出発し、まず一元的汎神論、次いで精神と身体の問題を取り上げ、後半は現実主義的ともいえる倫理学を議論している。
@https://www.help-note.com/hc/ja/articles/15386417475481