例:「AちゃんがBちゃんとCちゃんを誘って3人で鬼ごっこをする」という場面


「誰をどのタイミングで誘うのか考える」(社会性の力)

鬼ごっこをやって楽しいメンバーと、ごっこ遊びを一緒にやって楽しいメンバーは、違うかもしれません。また、ただ単に『好きな友達だから誘う』ということもあるかもしれません。

他の遊びをしていない友達を誘うのか、どうしてもその子と遊びたいから、他の遊びをしていても誘うのか、ということもあるでしょう。


「BちゃんとCちゃんをどうやって誘うのか考える」(言語力)

どうやって言葉をかけたら、友達は自分の誘いを受け入れてくれるだろうか、誘いを断られたら何と言えばいいだろうか、どう振る舞ったらいいだろうか。

そんなことを考えながら、言葉を選ぶ必要があるでしょう。

時には、誘う予定になかった子が「仲間に入れて」とくることもあるでしょう。そんな時どうするか。


「どこで鬼ごっこをするか」(健康安全の力)

怪我をしないで沢山走れる場所を選ぶ必要があります。


「どうやって鬼を決めるか」(思考力)

交代でやるのか、ジャンケンで決めるのか。ジャンケンの場合は、メンバーがジャンケンのルールを知っている必要があります。知らない子がいたら教えてあげないといけません。


鬼ごっこが始まるまでに、こんなに沢山の力が必要になります。「自分達で遊ぶ」とは、奥が深くて大切な学びの機会なのです。

こうなるまでにも、様々な経験を積み重ねています。経験の積み重ねがなければ、自分で遊ぶことはできないのです。


「はい、じゃあ今日は鬼ごっこをしましょうね」と、体操の時間に教師から言われて遊ぶだけであれば、このような複雑な思考や人間関係の調整力は必要ありません。「言われたことをやればいい」のですから。


もちろん、教師が「鬼ごっこしましょう」と言ってやる機会も、「鬼ごっこという遊びがあることやルールを知らせる」という点では大切なのですが、重要なのはその先なのです。