せっかくソカクしたのに | lyd

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「Live Your Dreams」⇒『夢に生きよう』

大学4回生の秋、人生で初めて「演劇」を見た。


場所は、大阪芸術大学3号ホール。

トモダチ作った劇団の旗揚げ公演だった。


あるイベントで知り合った芸大生。おもしろいパフォーマンス

をみせてくれたメンバーが中心になって、旗揚げされた。


でも、招待を受けた時、正直、乗り気はしなかった。


別に、見に行くことがめんどくさかったわけではないし、

演劇に興味がなかったわけでもない。むしろ、ものすごく

興味があった。



理由は、ものすごく簡単。

ただ、何か恥ずかしかっただけ。


こんな歳になるまで、演劇を見たことがない、ということ。

このことが、なんだか恥ずかしかった。



なんていうか、なんか演劇には演劇のルールみたいなものが

あって、で、独特の雰囲気やマナーがあって、それを知らない

人は、決して立ち寄ってはいけない。


そんなとこだと、勝手に思い込んでいた。


悩んでいた。「ま、ある程度、知ったかぶりをしないといけないな。」

なんてキモチを持ち続けて、けっきょく、劇場に向かった。




無料の大学専用のバスで、大学向かう。


大学前のバス停で降りる。その先には、近代的な建物が並んでいた。



「さすが、芸大・・・。」


案の定、さっそく圧倒された。だけど、芸大初心者、演劇初心者の姿を

必死に隠そうとしながら歩いたことを、なんとなく覚えている。



ホールに着く。もう、どうしたらいいかわからない。



受付の人が、こっちに笑顔を見せている。


(え?ここでチケット?渡すの?何か書くの?なんか声をかけないと

 いけないの?誘導してくれるの?場所あってるの?出入りできるの?)



とりあえず、見よう見まねで、前の人と同じことをする。



中に入る。



また、どうしたらいいかわからない。


どこに座るのか分からないし、どこを見たらいいかも分からない。手の

おき場所も、椅子のかけ方も、目のやり場も、なにもかも・・・。


「あー、やっぱ、来なきゃよかった・・・」

始まってもいないのに、後悔をし始めていた。

とりあえず、小さくなって、始まるのを待った。



しばらくして、



舞台が暗くなり、何かを告げるブザーが鳴る。

すでに初心者丸出しのボクでも、公演が始まることがわかった。



そこからは、もう、覚えていない。



ただ、バリアを張って構えていたボクは、もうそこにはいなくて、純粋に

ホントに楽しかった記憶だけ、鮮明に残っている。言葉では表現できない

くらいの満足感で、もし表現するんだったら、ありきたりの言葉だけど、

「吸い込まれた」って感じ。



あれから、何度か、いろんな劇団の公演を見た。



比べるもんじゃないんだろうけど、シロウトのボクは、何だか比べてしまう。

今でもあの最初に見た公演ほど、キモチに残る演劇には出会っていない。



ん?褒めすぎ?



でも、本当だから、しょうがない。






あるトモダチに会って、その劇団の話になった。名前は「劇団ガバメンツ」。

旗揚げ公演の題は、「せっかくソカクしたのに」。あの旗揚げ公演から、もう

4年ちょい。座長は、もうすぐ映画の脚本化デビューだそうだ。



みんな、がんばってるね。




ボクもがんばらなきゃ。




興味がある方は、ぜひ、ネットで検索してみてくださいね。