現地校のストライキ | 更新は全然頑張らない備忘録@フランス語圏スイス

更新は全然頑張らない備忘録@フランス語圏スイス

自分が後で振り返って「あ~、あの時はこうだったんだ」と思い出すための備忘録のようなもの。
海外生活、持病(婦人科疾患やアレルギー)、高齢出産、育児、子供の受験などのつれづれ。

長女ガルは昨秋、ジュネーブ州の公立小学校を卒業し、公立中学に進学しました。

小学校は事実上1学年1クラス程度の小規模でしたが、中学校は他のいくつもの小学校から進学する大規模校です。

 

ソニックが中学生だった1970年代末の日本は、子供が多い時代でした。1クラスの定員は40人を超えていました。確か、中1の時は10クラスで420人いた、と記憶しています。

ガルたちもやはり1学年10クラス程度のようですが、クラス定員は約20人ほど。科目によっては更に半分に割って教師が合計2人付く少人数授業です。

 

ソニックの時代の日本の公立中学との最大の違いは、クラスごとに決まった教室が無いことです。

日本では、原則としてクラスごとに決められた教室に教師がやってきて授業をする形態でした。

ところがガルたちの中学では、教師が管理するそれぞれの教室を、生徒が割り当てられた開講時間に訪問して授業を受けるのです。まるで大学の講義のようです。

 

また、教室内にいる間は生徒の安全に関する責任が担当教師にあるため、休み時間中の教室は原則として施錠されます。

そのため生徒たちは予鈴が鳴ると教室の前の廊下に集合し、教師が入室許可してくれるのを待ちます。

したがってロッカーも教室内ではなく、1階のホールに備え付けられています。

トイレは各階にあるのですが、授業時間中は全て施錠されていて、開放されるのは休み時間帯、それも1階のみです。

なんでも、昨年、不適切な使用が目立ったので「職員の監視の負担を減らすために」利用可能な時間と場所が著しく制限されたそうです。

 

「教室」は昼休みは当然施錠されていますから、お弁当を食べることもできません。

昼食は帰宅して自宅で取るのが原則です。家が遠い生徒のためには、専用のダイニングホール(昼休みのみ開錠)もあります。給湯器と電子レンジはありますが、食事は提供されないので自分で調達しなければなりません。

時々予告無しでダイニングホールが施錠されたままのことがあり、ガルは慌てて帰宅してきます。

教室もダイニングホールも施錠されている以上、昼休みを過ごす場所が無いからです。

(昼休みの生徒の安全の責任は保護者にあり、学校側は関知しない)

 

こんな状況の中で「ストライキ」のお知らせがありました。

ストライキを実施するのは複数ある教職員組合の1つだけ(ただし教職員の半数くらいが加入)で、組合員の中でも意見が別れているらしいのです。

 

1.非組合員   ストライキに不参加なので通常通り授業

2.組合員だがストライキには個人的に反対  ストライキには最低限(1コマのみ)の参加予定

3.組合員だが11年生(中学3年生)の担当なのでストライキには不参加

4.組合員で、ストライキに積極的に参加する

 

日本ならば先生のストライキがあっても「教室で自習」と言う名目で、とりあえず生徒の居場所は確保されています。

けれども、ジュネーブの公立中学の場合は先生がストライキに参加した場合、「教室の鍵を開けてもらえない」ので居場所がありません。

おまけにストライキがいつ終了するのかもはっきりしません。

 

2月2日(金)。

5日(月)からのストライキ実施を控え、学校から生徒たちへ口頭で指示があったそうです。

 

1.生徒は通常どおり登校し、教室前で待機すること。

2.正規の時間を10分過ぎても担当職員が来ない場合は全員ホールに降り、クラス委員が代表で事務室に問い合わせる。

  帰宅許可が出た場合は次の授業の予鈴までの間、自由行動。(生徒の安全の責任は保護者)

  帰宅許可が出ない場合はそのままホールで待機(生徒の安全の責任は学校)

  事前に保護者から学校にメールで依頼があった場合は必ずホールで待機(生徒の安全の責任は学校)

3.予鈴が鳴ったら通常通り教室前で待機。

をストライキ終了まで繰り返す。

 

ガルから説明を聞いて目が点になりました。なんじゃそりゃー?です。

とりあえずストに関する学校事務からのメールは放置したほうが良いことだけは分かりました。

学校に閉じ込めてもトイレも使えるかどうか怪しく、腰かける場所さえあるかどうか・・・。

外のショッピングセンターやカフェに行ければ最低限、トイレが使えますから。

こんなややこしいことを生徒への口頭説明だけ、ということは、「保護者に言質を取らせないため」でしょうねえ。

でも、このやり方だと、大混乱にならない?

ホールのベンチの数、子供たちに対してぜんぜん足りないと思うのですが。

もし雨や雪が降ったら、行き場の無い子供たちはホールにすし詰めで過ごさなければなりません。

 

実際にストライキが始まると、思ったよりも混乱は少なく済みました。

ガルの話によれば、1階ホールにはストライキに参加している教職員が集合していたので子供たちは「今日は授業をする予定ですか?」と直接確認し、その日の授業が無い時間帯をチェックして、空き時間が2コマ以上繋がっていたり、昼休みと繋がっている場合にはいったん帰宅、と計画的に行動できたのだそうです。

 

大きなトラブルが無くストライキが終了して、本当に良かった~。