アメイジング・スパイダーマン(3D) | 日々是好日

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徒然なるままに

今年はどうもアメコミが熱い。マーベルコミックから飛び出したヒーローたちがスクリーン狭しと暴れ回る作品が目白押し。後に控える「ダークナイト ライジング」「アベンジャーズ」とファンにはたまらないだろう。そしてその先鞭を着けるのが本作。不景気だから云々と理由付けは何でもいい。思いっきり暴れまくってスカッとさせてくれれば。

過去に何度か映画化されてきたスパイダーマンではあるが、前3部作もたしかに良かった。でもそれは既存のストーリーを最先端のVFX技術でなぞってリメイクしたものに過ぎなかった。本作を観た後ではそう言わざるをえない。なにせ本作はタイトルに「アメイジング」とついているくらいなのだ。辞書を引けば”アメイジング”=”驚くほど見事なこと”とある。この言葉に偽りはない。

本作がなぜゆえ「スパイダーマン4」にならず新シリーズになったのか、という大人の事情はさておき。ピーター=パーカーがどういったいきさつであのような特異なスタイルを身につけたのかがときにコミカルに、ときにシリアスに語られる。まさにスパイダーマン誕生秘話であろう。

ごく平凡な青年が好奇心から遺伝子操作された蜘蛛に噛まれ云々、という導入部分からぐいぐい引き込まれた。誰もが知っていそうで知らないスパイダーマンの苦悩、葛藤。所詮、彼も一介の人間なのだ。ゆえに恋し、悩み、悲しみ、怒る。他のアメコミヒーローもなんらかの理由があって、ああして戦っているわけだが、彼もまた深い悲しみを背負って夜の街を駆け抜けるのだ。

毎度ながら現れる敵も趣向を凝らしてくる。今度の敵はリザード、巨大トカゲだ。ピーターと因縁浅からぬこの御仁、巨体でありながら俊敏な動きで翻弄する。よく爬虫類の生態を描写しているものだと変なところで感心。こやつとウェブを自在に操って飛び回るスパイダーマンの死闘は言わずもがな必見。まさに力と技のぶつかり合いってとこだ。

3D前提としてつくられているだけあって、とにかく見せ方がハンパなく上手い。よくありがちな画面の奥から物が飛んできてあっ!とよけるレベルじゃない。スパイダーマンと空中散歩しているかのようで、観終わってしばらくはふらふらしてまっすぐ歩けなかった。アイ キャン フライ!って飛び降りたくなる衝動にかられそうだ(笑)。

続編の制作も決まっているようで、「ダークナイト」ともども新シリーズには大いに期待したい。是非とも3Dで! ★★★★★