【ディスクレビュー♪5】

QUEENSRYCHE / Rage for Order

 

   (1) Walk in the Shadows
   (2) I Dream in Infrared
   (3) The Whisper

   (4) Gonna Get Close to You

   (5) The Killing Words

   (6) Surgical Strike

   (7) Neue Regel

   (8) Chemical Youth (We Are Rebellion)

   (9) London

       (10) Screaming in Digital

       (11) I Will Remenber

 

 

 

 

 

 1983年デビュー(EP)当時からその片鱗をうかがわせていたQUEENSRYCHEのアーティスティックな感性が開花した2ndアルバム。1986年リリース。

 

 私は、メタルに入門するまではベストヒット的なチョイスで多種のアーティストをつまみ食いする聴き方で、アルバムを通してひとつの作品として聴くという習慣はなかった。ところが、このアルバムを聴いてから、聴き方が変わってきた。

 QUEENSRYCHEの代表作と言えば、コンセプトアルバムの傑作として名を馳せた次作の「Operation : Mindcrime」だが、ブレイク前夜となる本作もまた、アルバム丸ごとひとつの楽曲として捉えることができるコンセプチュアルな一貫性を持った作品である。

 

 QUEENSRYCHEは、プログレッシブメタルとも形容されることがあるが、楽曲単体で見ると至ってシンプルなメタルが多い。が、バラエティに富んだ方向性の楽曲が緻密に配置され、聴き手をアルバムの最後まで惹きつける構築美がある。ジェフテイトのボーカルも、このアルバムではすでにうまさを超越した楽器的なクセのあるスタイルを確立しきっている。

私自身は「Operation : Mindcrime」にさほど入れ込んだことはないが、「Operation : Mindcrime」にハマったのに本作が未聴のメタラーには必ず遡って聴いてほしいバックカタログ。

 

 

 五感は眠った記憶を呼び起こす。

 日記でも付けておけば、いつ何があったのか残した記録は辿ることができるが、その時の感覚的な記憶は、悲しいかな甦ることはない。

 私の場合、音楽を聴くと、以前同じ音楽を聴いていた時の記憶が鮮やかに甦ってくることがある。大半は、あまり思い出したくなかった苦悩した記憶なので、私はそういう音楽を「トラウマ盤」と呼んでいたりする。

 このアルバムは、最初のトラウマ盤のような気がする。今日、このレビューを書くために何度も聴き返しているが、高校時代の甘い恋のような数々の出来事が脳内メモリーから断片的に排出されているわけだ。今風に言うなら、キュンなアルバム。

 

 

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