今年の夏休み、子どもを連れて遠方の実家に帰省しました。

滞在中は派手なことをするわけでなし、近所を散歩して歩いたり、昔なじみのスーパーに行って「ああ品揃えが変わってる」などと嘆息していたくらいです。

その中で、近くの神社に行ったのですが、そこで子どもと一緒に池をのぞき込みました。

現在住んでいる場所の近くにはこういった場所がないので、子どもは喜んで鯉や亀が泳ぎ回るのを眺めていました。

その中でふと、私の目がある一匹の鯉に留まりました。金色に輝く大型の鯉で、全身に転々と黒い模様があるのです。

上から見下ろすと、ちょうど頭部の部分が人の顔に見える「人面魚」でした。

私は内心驚愕しました。

その昔、私が小学生だった頃に「人面魚」がブームになった時期がありました。

同時期に噂がささやかれた人面犬と違って、浮き出た『顔』模様は単なる自然のなせる業にもとれ、オカルト性は薄かったのですが、やはり子ども心には怖さ・興味が半々で「いるなら見てみたい」と、友人たちと話したものでした。

それが神社の池にいる、という噂が学校で流れたのです。

すぐさま神社には子どもたちが押し寄せ、池を血眼でのぞき込む姿が見られるようになりました。

私もその一人だったのですが、友人が「いたっ!」と叫んだときの興奮は、未だ忘れられません。

「あすこ、橋の下!金色のやつ!」

鯉の寿命と言うのは一体どれくらいなのでしょう。

果たして私が今回みつけた金色の「人面魚」さんは、遥か数十年前に出会った魚と同一の鯉だったのでしょうか。

もしかしたら子孫なのかもしれません。

それでも私は思いがけず「知った顔」に再会できた喜びで、じんわりと優しい気持ちに包まれ、自然と笑顔がこぼれました。