【高校生の頃、天文部で星を見ていた】


受験勉強をする気にもなれず、

不本意に通うことになった滑り止めの私立の高校。


・敗北者の自認

・授業料高く、親への罪悪感

・通学には1時間以上かかる

 (この土地ではかなり遠方の部類)

・オバケのでそうな古く暗い校舎

・男子校




最悪だ …。

ここからは勉強しようかな。

そう思っていた。




だがそこには天文部という、

なんともニッチな部活動が存在していた。

既に「変人である」という自覚があった自分と

よく似た人達が集っていた。




そうしてまた、勉強は疎かになった。ニコニコ








惑星の中で、どうしても見られなかったものとは】


水星だ。 

明るい惑星なのに、見つけるのが難しい。 



いつも太陽の近くにいるからだ。 

見えるのは日の出前か日没後のわずか30分ほど。 

肉眼で捉えるのがギリギリの明るさ。

しかも水平線近くに現れるため、建物や山、

そして一本の雲でさえ邪魔になる。





他にもたくさんの障壁がある。

知識として、見えることは知っていたが、

実際に肉眼で捉えるとなると、

なかなかの難しさだった。





「死ぬまでには捉えよう …」

 そう思ったまま40年以上が過ぎた。 








【沖縄・古宇利島への旅行は必然だった?】


メンター主催のリトリートで沖縄へ行った。

グランピングのように居ながらにして、

海と空と自然と一体となれる環境だった。



・水平線まで遮るもののない海

・低緯度の空

・奇跡のような晴天

・空気の透明度



いくつもの条件が重なり合い、

とても美しかったその日の夕暮れ時に、

ふと我に帰った。




あれ?

もしかして今、水星が夕暮れに居るのでは?

スマホの星空専用アプリで確認すると …

「いた!」

そして …

「条件はクリアされている!」




偶然などではない、

今、この場にいられたからこそ

見られるかもしれないのだ!





そこからは胸の高鳴りが抑えられなかった。

そして驚いた。

その願いを半ば忘れていたのに、

ずっと待ち続けていたことを思い出したことに。





「やりたいことがわからない …」

ここ数年、ずっとそれを探究してきた。





でも高校生の頃の自分には、

ちゃんと「見たいもの」があったのだ!





⸻それは

社長になりたいとか

有名になりたいとか

お金持ちになりたいとか

そういうものじゃない。




ただ、水星を自分の目で見てみたい。

という純粋な好奇心。





自分の価値観の上位にある、

・好奇心

・探究

・冒険

そのままだった。





アラ還になっても、心のコアは高校生の頃と

あまり変わっていないのかもしれない。

「それって、いかがなものか …」

 …は、さておき。





⸻そして自分が今、興奮に震えているもの …。

それはこの旅で手に入れるものは、

水星そのものよりも



「40年前の願いも叶うことがある」



という体験だったのかもしれないこと。





もし高校生の自分に

「アラ還の頃に、沖縄の海辺で水星を見ているよ」

と言っても、決して信じなかっただろう。







【ついに肉眼で水星を捉えた!】


日も暮れてきた。

金星も、その斜め右下の木星も肉眼で捉えた。

位置はわかっている。

木星のすぐ右斜め下だ。




だが幻想の水星を、何度か捉えたと錯覚しただけで、

スマホのカメラにも写っていない。





見えるはずの水星の位置の高度はどんどん下がり、

水平線が近づく。

ここからは、夕陽と同じで赤く暗くなっていく。

肉眼でギリギリ …その知識が頭をよぎる。

もう見えて良いはずだ。

まさか、ここまで条件が揃っても見えないのか?





そしてついに …キタ!

幻想ではない!

カメラでも確認した。




たった一つの小さな光だった。

でも、その小さな光は高校生の頃の自分が

見たかった光だった。






図解するとこんな感じ。


                ★ 金星(-4等級)

                  \ 一番明るい

                    \

                      \


                         ★ 木星(-1.9等級)

         ここまでは見えるよね?

                              \

                                \

                                  ★ 水星(+0.2等級前後)

                             肉眼では非常に見つけにくい


─────────────────────

        西の水平線(東シナ海)

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高校生の頃からの

「死ぬまでにやりたいこと」

が一つ叶った。




肉眼で水星を見ること。




——そして不思議なことに …

水星を見つけた喜びよりも

「そんな願いを持っていた自分」

を思い出せたことの方が嬉しかった。






「やりたいこと」は未来にあるとは限らない。

忘れていた過去の中に埋まっていることもある。

そんな思いも、何処からともなく降りてきた。






思わず、屋内ラウンジでの仲間の談笑を遮り、

「死ぬまでにやりたかったことが叶ったぁ〜!」

「ぜひ一緒に見て欲しい!」

と誘い出しに行った。






普通の人なら、沖縄旅行で印象に残るのは


・海

・星空

・ホテル

・食事 など


…だと思う。





でも旅先から帰った自分が、今、

真っ先に語りたいのは水星だった。





そこが実に自分らしい。




そして「死ぬまでに叶えたい事」を

叶えたことを喜ぶだけではなく、

少し振り返って見たくなった。




高校生の頃の自分が、まだ他にも

『死ぬまでにやりたいこと』

を持っていなかったのだろうか?





今回の旅は、古宇利島と

その素晴らしく、そして驚きと謎に満ちた

「整うこと」に振り切った環境以上に

そのリストを思い出させる旅だったような気がする。











だが、あの頃……



隣の女子校へ望遠鏡🔭を向けたことがあるのは

時効ということで勘弁して欲しい。真顔







✨🌌☿️おまけ 難易度を語りたい!


実は今回の水星観測には、 

・東方最大離角直後 

・沖縄の低緯度 

・西の水平線が開けた海 

・雲の少ない夕暮れ 

・金星と木星という目印 

 といった条件が重なっていた。 


 水星は116日ごとに観測チャンスがあるが、

 「肉眼で見つけやすい好条件」

となると年に一度あるかどうかなんだ。


 そんなタイミングに偶然居合わせた。 

 いや。今回の旅を振り返ると、 

 偶然と呼ぶには出来過ぎている気もする。


この出来すぎも自分で誂えた!

そういうことにさせてもらおう。