連日うだるような暑さが続く日本列島。気象庁によると、この夏の東京都心の猛暑日の日数は観測史上2位、熱帯夜は3位に達している。9~10月も平年より気温が高い状態が続くとみられる。「酷暑長期化」は、暮らしや健康にどんな影響を与えるのか。【八田浩輔、飯田和樹、井出晋平、田村佳子、和田憲二】

  ■天候

 気象庁は24日、9月初めの平均気温がかなり高くなるとする異常天候早期警戒情報を出した。各地で8月29日ごろから1週間は平年より0.9~2.3度高くなるとしており、暑いまま9月がスタートし、真夏日となる所も多い見込みだ。その後についても、日本列島を覆う高気圧の勢力はなかなか弱まらず、10月までは平年より気温が高い状態が続くとみられる。

 また、夏から秋にかけては台風が気になるが、今年は5個しか発生していない。8月末時点で4個しか発生しなかった98年に次ぐ少なさだ。

  ■体調

 9月も厳しい残暑が続いた場合、人の体にはどんなリスクが生じるのか。健康に対する気象の影響に詳しい気象予報士、村山貢司さんは「夏バテ」の継続と学校での集団熱中症を懸念する。「日中の高い気温が体に負担を与えており、熱帯夜のせいで不規則な睡眠が続けば体調を崩しやすい」。その結果、免疫力が下がり、感染症などの病気にかかりやすくなるという。

 酷暑がもたらす間接的な影響として、来春に花粉症が増える可能性もあるという。光合成で大量の糖分ができれば、花粉を作るスギの雄花も多くなるためだ。村山さんは「暑い日が続けば、スギとヒノキの花粉の量は、今年の5倍以上になる可能性がある」と話す。

  ■生活品

 暑さで一定のプラス効果が出た衣料・食品業界からは反動を懸念する声が出始めた。

 全国の百貨店の7月の売上高は、夏物衣料が好調で、前年同月比1.4%減と減少幅は6月(6.0%)から改善した。だが、百貨店各社などによると、今も夏物が売れ、秋物は今一つ。そごう・西武は「気温が下がらないと、お客さんが秋物を見ようという気持ちにならない」と話す。日本百貨店協会も「単価の高い秋物が振るわないと、売り上げは最終的にマイナスになりかねない」と気をもむ。

 アパレルのワールドは当面、カーキや紫など秋色ながら夏素材で涼しい「端境商品」を中心に展開する予定という。ただ、「(価格が高い)本格的秋物が売れてほしい」(広報)と話す。

 食品業界はアイスクリームの売り上げは伸びているが、チョコレートは不振。各社は9月からバレンタインデーなどに向けた新製品を発売するが、「猛暑で小売店から新製品の注文が来ない」(大手菓子メーカー)という。

  ■果物

 季節の味覚はどうなるのか。農林水産省は「今夏は日照が確保され、秋の果物の甘みが増すと見込まれる」。盛んな光合成で糖分が十分に蓄えられるためだ。山梨市でブドウ園を営む男性(67)は今月から巨峰の出荷を始め、「甘みが増して、顧客から再び注文があった」と話す。だが、収穫量は減っており、価格は上昇気味。茨城県のナシ農家の男性(30)は「例年より小玉で収穫量も2割近く減った」と話す。

 新型インフルエンザに関して政府が昨年8月21日に「流行入り」を宣言してから1年になる。昨夏は各地で新型インフルが蔓延したが、今年は目立った感染報告はない。今年8月10日には世界保健機関(WHO)がパンデミック(世界的大流行)の終息を宣言した。危機は去ったのか-。世界の状況と専門家の分析から、今年の動向を探った。(蕎麦谷里志)

 「最も激しいウイルスの活動期は過ぎた」

 今月10日。WHOのマーガレット・チャン事務局長はそう切り出して、パンデミックの終息を宣言。フェーズ(警戒水準)を「ポスト・パンデミック期」(最盛期越え)に切り替えた。

 WHOにとっては昨年6月にパンデミックを宣言して以来、1年2カ月ぶりのフェーズ変更となった。

 豪州など冬を迎えている南半球が現在、インフルの流行期にあたるが、「流行規模は普段の季節性程度。パンデミック時は新型が季節性ウイルスの感染活動を抑えたが、そのようなこともない」(チャン事務局長)というのが主な理由だ。

 ■第2波で拡大も

 国内でも今夏は流行入りの兆しはない。国立感染症研究所によると、8月15日までの1週間で、報告のあったインフルエンザ患者数は162人。1医療機関あたりの患者数が1人を超えると流行期とされるが、今はまだ0.04人にとどまっている。昨年の同時期は、1.69人だった。

 「多くの人がすでに免疫を獲得しており、このまま冬までほとんど流行しない可能性もある。少なくとも去年のような大きな流行はないだろう」。そう話すのは、元北海道小樽市保健所長で、インフルに詳しい外岡立人氏。現在、流行がみられる香港でも新型は少なく、主流は新型でなく、季節性のA香港型という。

 しかし、東北大の押谷仁教授(ウイルス学)は「油断は禁物」と警告する。過去の例では、再流行した第2波で被害が拡大したこともあるからだ。

 実際、ニュージーランドやインドなど南半球の一部の国では今年、昨年を上回る流行を見せているという。押谷教授は「日本の場合、昨年の流行では高齢者や妊婦などリスクの高い人に感染が広がらなかった。今年この層に感染が及べば、大きな被害をもたらす危険がある」と話す。

 ■ワクチン接種に変化

 WHOがパンデミック終息を宣言したことで、いつまで「新型」と呼び続けるかという問題も出てきた。

 厚労省によると、今回の新型インフルを「新型」と呼んでいるのは日本ぐらい。世界では「パンデミック2009」や「スワインフルー(豚インフル)」などと呼ばれている。

 日本での「新型インフル」という名称は感染症法で元々規定されており、「新型」を外すには、厚労相が「国民の大部分が免疫を獲得した」と判断する必要がある。

 厚労省によると、「新型」でなくなったとしても、国の対策は弾力運用されているため大きくは変わらない。しかし、ワクチン接種の費用などが少し変わってくる。

 新型インフルの場合、ワクチン接種は国の事業で、接種費用も行政が決める。低所得者には接種費用を助成する制度もある。しかし、新型でなくなれば通常の季節性と同じ任意接種となる。接種費用は医療機関が独自に設定。低所得者への助成もない。

 北里大の和田耕治講師(公衆衛生学)は「ワクチンを打った人を入れても免疫を持っているのは国民の3割程度。新型と呼ばなくなることで国民の意識の低下も懸念される。あと一冬くらいはこのまま様子を見ても良いのではないか」と話している。

 全国で相次ぐ高齢者所在不明問題で、東京都大田区で生きていれば104歳になる三石菊江さんの長男(64)が「母は9年前に死亡した」と話し、三石さんとみられる白骨遺体が見つかっていたことが20日、警視庁蒲田署などへの取材で分かった。骨は細かく砕かれリュックサックに入れられていた。同署は死体損壊容疑のほか、長男が三石さんの年金を不正受給していた疑いもあるとみて調べている。

 同署によると、19日午前、高齢者の所在確認をしていた区職員に対し、長男が「母は平成13年6月に亡くなった。ミイラになって骨になったので、(以前住んでいた)文京区からバッグに入れて持ってきた」などと話した。

 同区からの届けで同署が調べたところ、自宅内のリュックから、白骨遺体を発見。骨はほぼ1人分とみられ、同署はDNA型鑑定するなどして身元確認を急ぐとともに、死因や死亡時期を調べる。

 同署によると、長男は遺骨を細かく砕いてポリ袋に包み、リュックに入れて保管。「葬式を出す金がなく死亡届を出さなかった。母の遺体はしばらく押し入れに入れ、腐敗したので風呂場で洗った」と説明した。

 16年5月、三石さんと長男は文京区から大田区へ転居しているが、長男は「転入前まで母の年金を受けていた」と説明。同署は三石さんの死亡後、長男が130万円近くの年金を不正受給していた疑いがあるとみている。

 また、大田区が100歳以上を対象に渡している長寿者祝い金(5万円)も19年から21年まで計15万円受領していた。