◎国内100例目の脳死移植へ=法施行から13年、改正で急増―東北大の30代男性
2010-09-30 10:31
時事通信

 日本臓器移植ネットワークは30日、東北大病院に蘇生(そせい)後脳症で入院していた30代男性が改正臓器移植法に基づく脳死と判定され、移植に向けた準備に入ったと発表した。
国内の脳死移植は100例目となり、旧法施行から13年で節目を迎えた。

 旧法下では、脳死での臓器提供に本人の書面による意思表示を必要としており、脳死移植は年間10件程度、12年余で86件にとどまっていた。

本人の意思が不明でも家族の承諾で提供可とした今年7月の改正後は、2カ月余りで14件に達した。

 同ネットによると、男性は書面で意思表示していなかったが、数年前に家族で臓器提供について話した時に「臓器提供はいいことだね」と言っていたといい、家族の総意で提供を決めた。29日午後10時45分に法的脳死と判定された。家族承諾に基づく提供は13例目。 
◎渡米男児への心臓移植、無事終了
2010-09-29 19:15
時事通信

 重度の心臓病を患い、心臓移植を受けるため渡米した宮城県利府町の幼稚園児横山由宇人君(5)が移植手術を受け、無事終了したことが29日、分かった。「ゆうとくんを救う会」関係者が明らかにした。

 由宇人君は昨年11月に心臓の筋肉が薄くなり、機能が低下する「特発性拡張型心筋症」を発症。東北大学病院に入院していたが、米国で心臓移植を受けるため先月、ニューヨークに向け出発した。

 関係者によると、現地時間27日午後、ドナー(臓器提供者)が現れたと連絡が入り、同28日午前0時半すぎから手術を開始、同日中に無事終了した。容体は安定しているという。

 由宇人君の両親は「手術前には見られなかった心臓の鼓動が波打つ形を確認できることに感動している。
関係者の皆さまに深く感謝申し上げる」とのコメントを発表した。 

100例目の法的脳死判定 家族承諾のみで臓器提供へ
2010年9月29日15時50分


. 日本臓器移植ネットワーク(移植ネット)は29日、市立札幌病院(札幌市)に入院中の50歳代の女性が、改正臓器移植法に基づいて脳死と判定され、臓器提供の手続きに入ったと発表した。1997年の臓器移植法施行後、法的脳死判定を受けて死亡が確定したのは100例目になる。

 2000年に愛知県内の病院で患者が法的に脳死と判定された後に臓器提供が見送られたことがあるため、脳死の人からの臓器提供としては今回が99例目になる。今年に入り、脳死の人からの提供は16例目。

 臓器移植法は97年10月に施行され、最初の脳死判定は1年4カ月後の99年2月だった。今年7月の改正法施行までに87例の脳死判定が行われ、そのうち86例が臓器提供に至った。

 改正法施行で提供は急増している。脳死の人からの臓器提供は今回が施行後13例目。そのうち、本人の意思が書面で残されておらず、家族の承諾だけで提供される新しいパターンが今回を含めて12例を占める。従来は、15歳以上の人が、脳死になったら臓器を提供したいという意思をあらかじめ書面に残してあることが必要だった。

 臓器移植法に基づく法的脳死判定では、(1)深い昏睡(こんすい)(2)瞳孔が開いている(3)脳波が平ら、など5項目の基準を満たしているか確認する。これらを6時間以上あけて2回確認した時点で死亡宣告される。

 移植ネットによると、27日に同病院から移植ネットに連絡が入り、家族は28日午後に脳死判定と臓器摘出の承諾書を移植ネットに出した。同病院で女性の脳死判定が行われ、29日午前9時14分に2回目の脳死判定が終わって死亡が確定した。女性はくも膜下出血で治療を受けていた。

 家族は心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓(すいぞう)、小腸の提供を承諾した。心臓は大阪大付属病院で10歳代男性に、肺は東北大病院で20歳代女性に、腎臓の一つは札幌北楡(ほくゆ)病院で40歳代男性に、もう一つの腎臓と膵臓は東北大学病院で60歳代男性に、それぞれ提供される。小腸は医学的理由で提供を見送った。