◎法改正前の10倍ペース=変わる脳死移植、小児はまだ
2010-09-30 15:18
時事通信

 7月の臓器移植法改正後、脳死者からの臓器移植が急増している。

「誰かの中で生きて」
「役に立てばうれしい」。
提供を決意した家族のコメントからは、脳死移植が着実に社会に受け入れられてきた状況がうかがえる。

一方、改正の重要ポイントだった小児の移植はまだゼロ。

救急医療の充実や現場の負担軽減など課題も積み残されたままだ。

 家族の承諾による最初の臓器提供は8月9日。

「万が一のときは提供していい」と話していた20代男性だった。

その後、本人の意思が不明な中でも家族が提供を決めるケースが続き、2カ月弱で13件に達した。

このほか従来通り意思表示カードに基づく例が1件あった。

 このペースで続けば年間90件程度となり、改正前のほぼ10倍。

日本臓器移植ネットワークの小中節子医療本部長は「これまでも脳死で提供したいのに本人の書面がないためできない例があった。

法律が変わったことにより家族の思いをかなえることができて良かった」と話す。