「昼間夢見ている者」と、ユングは統合失調者のことを形容しました。
我々が見ていたのは、まぎれもなく悪夢だろう。
夢から覚めてほっとする種類の夢。
愛というのもまた幻想だと思う。
二人の人間が、束の間、共同で見る夢。
どちらか一方が目覚めれば、もう一方も強制的に目覚めさせられる儚い夢。
けれどそれは、夢から醒めた後、「どうして私は目覚めてしまったのだろう。もっと夢見ていたかったのに」と、思わずにいられない、甘く美しい夢にちがいないのだ。
私がひとり夢見ていたころ、書いた詩です。
冬の夜の夢
こんなに待っているのに
あなたは何故戻ってきてくれないのでしょう
冬の夢に見た哀しい夢のように
別れのシーンばかり思い出している
私の夢を捨てたらいいのですか?
あなたを夢にすれば帰ってきてくれますか?
私の詠む歌も詩も
すべてあなたのことばかりなのに
あなたはこれ以上私にどうしろと言うの?
(叶わない夢だから美しく思えるのだ)と
そう言って、二度と会えないのでしょうか
散って腐りゆく花さえ美しいいと
そう思う私なのに
こんなに想っているのに
何故あなたは私を愛してくれないのでしょう
何故私はあなたしか愛せないのでしょう
花病み
微睡むあなたの顔を見ながら
降るように落ちる花びらを受けとめた
あの日を忘れない
私は私の気持ちに手いっぱいで
きっとあなたも私を大切に想っていると
そう信じていたかった
(さよなら)(さよなら)
私はうまくあなたを愛せたでしょうか
今も青空を見上げては見えない花を求め
優しいあなたの寝顔を思い出す
無題
もっと叫んで聴こえるように
もっと愛して壊れそうなくらい
そうしないと信じられないから
あなたは風に浮かぶ
シャボン玉のように
どこかに消えてしまうから
私の名を呼んで
心の奥深くから
夜の底でたった独り
あなたの声が聴こえない