万年筆には、耐久性やデザインとともに、
書き味が大切なことは言うまでもありません。
その書き味を決定するのはペン先の形状です。
形状が違うとペン先の弾力性が変わってくるので、
書き味に違いが出てくるのです。
ここから弾力性を決定付けるポイントを
説明しますので、購入時の参考にしてください。
ペン先の硬さは、ペン先の材質のみで決まるのではなく、
ペン先の厚み、加工によっても大きく左右されます。
インクフローの良いモノやペンポイントの大きなモノは、
実際にペン先の持つ弾以上に柔らかく感じられる場合
もあります。
ステンレス製のペン先を持つ万年筆は、
比較的、カリカリとした硬い書き味のものに
なりがちですが、金合金のペン先を
持つものは、柔らかなタッチになります。
しかし、ペン先先端部の形状、切り割りの長さ、
ハート穴の形状と大きさ、ペン先全体の曲がり具合
などもペン先の硬さを大きく左右しますので、
たとえペン先の材質が同じでも、その他の要素が異なれば、
感じる硬さはかなり違ったものになります。
○ステンレスペン先
弾力が少なく、硬い。
○金合金ペン先
比較的、硬いモノから柔らかいモノまで様々。
金の含有量が多いほど柔らかい傾向がある。
○ペン先の大きさ
大きく長いモノほど柔らかい。
○切り割りの深さ
深いほど柔らかい。
○パン先のカーブ
小さいモノほど柔らかい。
○ペン先の先端部分
細く長いモノほど柔らかい。
○ハート穴の大きさ
大きく横長のものほど柔らかい。
○地金の厚さ
薄いモノほど柔らかい。
一般的には、長時間筆記しても疲れにくい、
柔らかいペン先のモノが好まれますが、
あまり柔らかいと、日本語が書きにくくなりますので
適度なコシも必要です。
また、楷書体で記述する場合や、
仕事上のメモ、手帳やノートの
記述に使われるのであれば、
硬めのペン先の万年筆の方が適しています。
力が入って筆圧が高くなるようなシーンでは、
柔らかめのペン先の万年筆では、逆に、
ストレスを感じることが多いからです。
最近の傾向としては、中程度から
やや硬めのペン先を持つ万年筆が多く、
柔らかいペン先を持つものは、少なくなっています。
また、ヴィンテージ物はペン先が
柔らかいモノが多いので、
万年筆愛好者から人気が高く、
他のものにくらべて少し高値で取引されています。