新宿
仕事が終わってから、私は直ぐに電車に飛び乗っていた。
携帯を見て時間を確認する。 PM18:00
監督に会えるまであと2時間。
電車はあっという間に時間を越え、新宿に私を降ろした。
改札で携帯を握る監督を見つけた。
「あ、ひさしぶり・・・」
なぜかぎこちなく声を交わした会話は、二人の関係を物語る様だった。
「とりあえず、飯食うか?」
監督は私をお勧めだという焼き鳥屋に連れて行った。
周りは歌舞伎町が広がり賑やかだか、
その焼き鳥屋は私の存在が浮く位、年配のお客が多い店だった。
そこで監督は、いつもの様に美味しそうにお酒をどんどんと飲み、
自分の夢や思いを語った。
適当に焼かれた焼き鳥と、驚く程濃いサワー、監督が目の前で笑っているおかげで
私はいつになく酔っ払っていた。
時間も程よく過ぎ、二人も程よく気持ち良くなった。
「んじゃ、行こうか。」
その言葉を合図に彼は私の手を引いて店をでた。
今まで監督と手を繋いで歩いた事は無かったが、
今日、彼は自然と私の手を引き、冬の風から守る様に私のジャケットのファスナーを閉めた。
私は、監督の半歩後ろから彼の横顔を眺めながら歩いた。
光の眩い歌舞伎町を通り抜け、細い路地に入った。