お酒
2、3時間後、仕事を終えた彼が
店のカウンターに座り、まかないをもらっていた。
少し酔っていた私は
「お仕事終わりですか? 良かったらコレ飲みません?もう酔っ払っちゃって。。。」
自分の頼んだばかりのグラスを差し出しつつ、彼に話かけた。
「あ、いいんすか?すいません。」
髭で隠れてはいるが、少し鼻の下が長い彼の笑顔に愛着を感じた。
彼もお酒を口に運び、気分が良くなったのか沢山私達に話しかけてくる。
彼はおもむろに自分のリュックから分厚い紙の束を私達に差し出した。
「これ読んでくれません?俺、監督目指しててコレは俺が書いた脚本なんで。」
その束を受けとりつつ、彼のバイト着にぶら下がる
「監督」と書かれた名札の意味が理解できた。
「なるほどねぇ~。だから監督って呼ばれてるんだ??」
「そうそう。」
お酒の力が功をそうしたのか、私達の会話が終わる事は無かった。
気が付くと、時計は5時を回ろうとしていた。
監督に抱かれたいと思いながらも、今日だけの関係には仲良くなり過ぎた。
それに、友達を家まで送らなくてはいけない事もあって、今日は素直に帰ることにした。
「じゃあ、そろそろ私達帰るわ」
「あ、まじ?じゃあ、携帯教えといて。俺の映画を上映する時、誘うから!!」
「うん。 じゃあ、またね」
帰りの運転中にさっそく監督からメールが届いた。
文章だけのシンプルなメール。
それがまた私を熱くさせた。
監督の子供みたいな瞳を思い出しながら、すぐに返信した。
「今日は楽しかったよ。
今度はどこか飲みにいこうね。今日のメンバーでも、二人でもいいし。」