今日、ある患者さんに
「先生に出会えてよかった」
と、言っていただきました。

彼女は、数日前から眠れないほどつらい症状があったにも関わらず、私の勤務日まで我慢していたらしいのです。そのため、少し病状は悪くなっていました。

私のことを信用してくれているので、これからの入院中の経過についても私が責任を持ってみていたいのですが、次の勤務日まで数日あります。そのため、この間は他のドクターにお願いすることになりました。
その患者さんに対して私自身が十分に対応できない申し訳なさと歯痒さで一杯でしたが、そんな私に
「そんなこと気にしないで下さい。でも、この病院で家族をみんな看取ってきたから、自分がこうしてここにいるといろいろ思い出しちゃいますね。」
「一杯思い出しちゃうから、この病院には入院したくなかったのに、先生がいるから、入院しちゃったじゃない。でも先生がこの病院にいてくれてよかったです。先生に出会えてよかった。」

大切な家族との、最後の思い出が詰まった病室のベットの上で、こぼれ落ちそうになる涙を精一杯こらえながら、その方は言ってくださいました。

そのずっしりとした、ありがたい言葉に、いろんな"顔"を持つ自分には、医者としてまだまだやらないといけないことがある、と気付かされてのでした。

私の方こそ、ありがとうございます。