dancyu1月号「いま、東京で行きたいのはこんな店です。」特集に掲載した“東京 食の職人魂”。1948年創業の銀座「カフェ・ド・ランブル」では、厳選した生豆を自家焙煎し、オーダーの度に専用のグラインダーで粉砕。綿ネルフィルターを使って、客の目の前で一杯ずつコーヒーを抽出する。愛好者の間で「ランブルスタイル」と呼ばれ、日本のハンド・メイド・ドリップのお手本とも言われるその抽出方法を、手順を追いながらじっくり紹介していきます。

清らかに澄んだ一杯を求めて、惜しみない手間をかける

コーヒーは“ソース”ではなく、“醤油”である──。

創業者・関口一郎さんは、旨いコーヒーの条件をそう表現した。ここに「カフェ・ド・ランブル」が目指すコーヒーの理想がある。

たとえば、アイスコーヒー。コロンビアを主体に5種類の豆を使って抽出したオリジナルブレンドをシェーカーで冷やし、同じブレンドで作ったコーヒー氷を浮かばせる。まさに「アイスレスアイス」。関口はせっかくのコーヒーが、溶けた氷の水分によって、その味が浮遊して台無しになるのを嫌ったのだ。