うちのオカンとオトン 五話 | Soulmate

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汝、愛されたければこそ、愛せよ。

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「あんたヒマやろ? デパートつきあって」

日曜のマッタリとした時間を過ごそうと思っていたのに・・

オカンの言うデパートとは、百貨店ののこと。

長い買い物の末、荷物持ちをさせられて疲れる修行のようだ。

しぶったものの、オカンの眼力に負けた。


パートの給料が出たので、アクセサリーを買うつもりらしい。

一番先にアクセサリー店に行けばいいのに、

なぜか、デパ地下へ直行だ。


「オカン、目的の店行かんで、なんで先にデパ地下なん?」

「アホやなー、デパ地下はタダでおいしいもん、食べられるやない」

「タダ?」

「店の前で、お試しで食べさせてくれるやろ?

食べ放題、呑み放題やないの。

腹いっぱいにさせて、店に乗り込むんやない」


少しずつだが、前菜からデザートまでフルコースを周り、

しかも、ワインまでお試し品を食べつくした。


何ひとつ、買わずに。

買ったのは産地直送のわけありの野菜。

買い物カゴから、野菜がはみだしている。

百貨店で買い物というより、ご近所の商店街で買い物する様。


10階のアクセサリー店へ向かう。


店内、黒で統一されたハイセンスな店。

野菜がはみだした買い物かごをさげたオカンが立っている。


シュールな風景。

これまた、ハイセンスな店員さんがオカンと何かしゃべっている。


「にーちゃん、これとこれ見せてや」

「はい、かしこまりました」


オカンの目が、光った。


「これやな、せやけど高い!」


口に出していうことか?

ボクは、冷や汗をかいてしまった。


「にーちゃん、これいいな

そやけど高い。まけといて」


「は、はい。私どもの店ではプライスダウンのサービスはやっていないので・・」


「ええやん、かたくるしいこと言わんと。まけてや」


百貨店の高級店で、ねぎった話は聞いたことがない。


押し問答が続いた。


「にーちゃんじゃ、話にならん。

上のもんいてへんのか?」


いたたまれなくなった店員は、奥にひっこんだ。

責任者らしい人を連れてきた。


「お客様、ここではなんですので、奥の部屋へどうぞ」


ボクは他人のふりをして、様子をうかがっていた。

オカンが奥の部屋へと消えた。


しばらくして、戻ってきた。

渋い顔をしている。


「オカン、結局ねぎれたんか?」

「あかん、ウチの負けや。定価で買わされた・・」


くやしそうにしてるオカンの手には、

商品の紙袋の他に、粗品らしいものがぶらさがっていた。


ただでは、終わらないオカン、恐るべし。




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ひさしぶりに、家族でカラオケに行くことになった。

近所のカラオケチェーン店の割引券が手にはいったのだ。


「ひさしぶりに、唄いまくったろ」


オカンの鼻息が荒い。

カウンターでオカンが何やら交渉している。


「大部屋ゲット!」


一番広くて豪華な部屋を無理やり借りたらしい。

20畳もありそうな大きな部屋。

キャバクラのようなセットで、3人が浮いてみえる。


分厚いリクエストブックを、

ものすごい勢いでめくり、てぎわよくリクエスト予約をいれるオカン。


ミラーボールが周る中、

咆えるように唄うオカン。


ジャイアンの歌謡ショーを聞く、のび太達のよう。

1曲唄うたびに、ビールをあおり、ピザをもさぼり食う。


オトンは、1枚1枚リクエストブックをめくり、

吟味している。

オトン、オカンがいるかぎり唄える隙はないで。


制限時間も押し迫った頃、

さすがのオカンも唄い疲れ、酔いもまわり、

ソファーでコクリコクリとやりだした。


誰も唄わない曲が流れた。


そろそろお開きなかとおもった時、

いしだあゆみの

ブルーライト横浜が流れだした。


「夜の明かりが・・♪」


ん? 


ものすごく上手い。


オトンが、ミラーボールの中、

別人のように唄っている。


なんだかかっこいい。

光り輝いているオトンをひさびさに見たのだ。


わずかなお小遣いで行っている、

スナックではスターらしい



<あとがき>

人気シリーズのオカンとオトン、

いかがでしたでしょうか。

オカンのずぶとさは、誰にも止められません。

大阪の「ねぎって、なんぼ」精神は、

文化です。

さすがに百貨店では値切ることはないですが^^


このシリーズの長編を少し考えています。


次回をお楽しみに。

ここに出てくる家族はもちろん、フィクションです。w