ひとつ前のかどはさよならサヨナラ -2ページ目


疲労の砂

と、呼ばれる不思議な砂の事を知ってる?


小川未明って
童話作家の作品に出てくるんだけどね


この砂をパラパラふりかけると
どんなモノでも
たちどころに疲労してしまうんだ


たとえば
鉄道のレールにこの砂をふりかけるとね
みるみるレールは赤錆だらけになってしまうんだ

紙にふりかければ
たちまち黄ばんでしまうし、
人間にふりかければ
すぐに疲労して眠たくなってしまうんだ


この砂はいったいどこに行けば手に入るのだろう?


嫌いな奴にさ
ぶちまけてやりたくて

僕はこの砂の存在を知った時から
探しているんだけど、なかなか見つけることが出来ないんだ

あの物語から想像するに、
中近東の砂漠とか
或いはアフリカのサハラ砂漠とか…
考えてしまうけど


恐らくね
そんな遠くではない所に散らばってる…
そんな気がする
んだけど…

もし、これを読んでくれている
あなたが
外を歩いている時

急に疲れを感じるようなら
それはおそらく
この疲労の砂のせいだね


風で窓から入ってくる事もあるらしいよ

でも
見つけることが出来たら、その場所をぜひ教えて欲しいな

……



と、話している内に
なんだか眠くなってきました

誰かが
僕に疲労の砂をふりかけたのかも知れない…

今夜は
もう休むことにします…
異国の街を歩いている時、僕は
ふとポッケの中の
ウォークマンの録音ボタンを押してみる事があるんだ

何を録りたいという訳でもなく
ただ漠然と街の音を録音してみるんだ


どの国の街も
いや、それは国内のどこの街にも
その街の音というものがある気がするんだ


行き交う人の話声
車の音
街角に流れる音楽


旅先から帰ってきてしばらく経って
その時の音を聴いてみると
写真とか映像では
味わえないような、その街の思い出が
蘇ってきるんだ


目をつぶって
その街の音に身を委ねると
まるで今も自分がその街の中にいるような
不思議な気分が味わえるんだ


そんな風にして
気ままに集めた街の音コレクションも

いつのまにか結構な本数になり
今では引き出しのひとつを占領するまでになったんだ


僕が歩いた
この惑星の上に立つ、
街角の音が
ぎっしり詰まったこの引き出し
それは僕だけの
世界へ通じる小さな扉でもあるんだ

神様は

海には魚を

空には鳥を

それぞれ

そこに在るべきものとして
創られたそうだけど

その時に神様が何かの手違いで、

海に放り投げられた鳥

空に飛びたたされた、魚がいたかもしれない


エラを持たない魚は
空で、もがき

翼を持たない鳥は
空で喘ぎながらも


結構、思ったより生き長らえていっただろうけれど

そんな
やり抜くかった連中にだって

うまくいった時間は
あったはずだと
僕は思うんだ


思い通りにいかない事があっても
鼻の頭にシワを寄せて
ちょっと笑ってみせる事で済ませてしまう

神話の中にも
そんな奴らがきっと居たと想像する事が

僕はとても好きなんだけども…