高い空 …② | ひとつ前のかどはさよならサヨナラ

そんな昔の事を思い出したのは

新緑の中のオープンカフェで妹の婿
僕にとっては義弟と話していた時の事だった


ちなみに在日韓国人である義弟は、五年間に及ぶ韓国留学経験者でもあった

初夏を薫りさせる季節
僕が一番好きな季節かもしれない


いい季節だなぁ

何気なく僕はいうと、義弟はポツリと答えた


うん、いい季節だけど…オレこの位の時期になると辛くなる時があるよ

どうして?

僕が訊くと理由を話してくれたけど
義弟のその話は少なくとも僕にとっては
とても共感出来るものだった


どういう立場で

どこの国…

どこの場所に暮らす場合でも
【自分でも知らない自分】
を作ってしまう事もある

そんな気がするんだ
なんて話から始まった

それでも無理に
【暮らし】
を営めば、

閉塞感

やるせなさ

どこにぶつけていいものか判らない怒り
様々なものが一緒くたになって襲ってくる
そんな時期があるんだという

臨界点とでも呼びたくなるような
そんな時期は
そこに暮らしている限り、定期的に訪れるものなのかもしれない


もうダメだ!
ここにはいられない!

と心の中で叫びたくなるような時期


もちろん、臨界点を克服して
そこに住み続ける人もたくさん存在するけど

異邦人…
敢えて乱暴な言い方をすれば
【ガイジン】
としての
臨界点のしんどさは
彼を見て来て、とても伝わるに難しい事はなかった



それまで手にしていた何か大切なものを
スルリとか失ってしまった
そんな後や

また自分の気持ちや在り方が、突然
その場所や風景、状況
とうまく噛み合わず

しんどさが襲ってくる
そんな瞬間にも
似ているのかも知れない

そんな
しんどい記憶が
季節とセットになって蘇り泣きたい気持ちになってしまう
そんな現象も
これもまた僕にとって判りやすいものだった


あぁ…すごく判るよ

僕がアイスミルクを口にしながら静かに答えると
すると

義弟は
笑いながら言ったんだ

うん、
お義兄さん

水族館で
涙が出た、って話してたもね


言われて

あぁ…
そうだ、そんな事もあったなぁ

なんて思い出す


続く→