四歳になる前に
ピアノに触れた
母さんのススメで
習い事として始めたピアノだったけれど、その音の響きに僕は
手のひらにまるで宇宙を乗せられた様な感動があったのだと思う
音には階段があると、通うピアノ教室の先生は教えてくれたけど
僕にとって音は
葉が重なり合う
そんなイメージだった
出る音
出る音
かわいいなぁ
って思った
弾けば弾くほど
友達が増えていくみたいだったよ
そのうちに、同じ【ド】でも、その日その日によって
違う音になるって気がついた
あ~今日は機嫌がいいねとか
ありゃ!?今日はやな事でもあったのかな
なんて音と胸の中で
指を伝わり会話した
そんなある日
いつもの様に
父さんの活動を支持する人達で
家の中はたくさんだった
その日は、家のない外国人や浮浪者が、家の中で新聞を折ったりチラシを折ったり歩きまわったりしていた
僕はその事には慣れっこで
いつも部屋の隅っこで
本を読んだり、楽譜を眺めていた
本当にそれだけで
楽しかったし、十分だった
けど、
そんな中で
ひとりの浮浪者が、履いていた靴下を
僕のピアノの上に乗っけたんだ
僕は湧き上がる
嗚咽みたいなモノを喉でとめながら
浮浪者を突き飛ばした
浮浪者も
周りもびっくりしていた
ピアノに乗った靴下を
掴むと横に投げつけた
そしてピアノを
抱きしめた
泣くものかと思ったよ
あの頃から
絵や音楽や本から
声のようなものを感じ始めた
続く →