群馬県の下仁田町に住む親戚の家に
幼い頃、夏休みや冬休みになると訪れ
過ごさせてもらった
年々そんな機会は減り
高校になった頃には全く行かなくなっていた
そんな下仁田で久しぶりな去年の夏2日間だけ過ごした
小さな頃は
ほんの何日間いるだけで、僕はすっかり
下仁田の子
になった気になったものだけど
やっぱり大人になるとそうはいかないな
なんて感じたんだ
僕は恥ずかしいほど
何も知らないで大人になってしまったんだなぁ
と妙にはっきり感じたのは
ある朝の出来事だったんだ
台所で朝御飯を作ってくれていた叔母さんが
畳の上でごろ寝をしていた僕に
庭の方を見ながら言ったんだ
味噌汁に入れるから
ちょっとミョウガをとってきなぃ
ミョウガ…?
僕はオウム返しにそう呟いてから戸惑った
庭には様々な種類の植物が繁っていて
僕にはどれがミョウガの繁みなのかわからなかったんだ
僕がそう言うと
叔母さんもびっくりして
どの繁みがミョウガなのか教えてくれた
僕は鼻歌混じりに繁みの前に来た
けど今度はミョウガの
食べられる部分
が、どこにあるのかが見つけられない
葉っぱをかき分けて
茎を見ても
僕の見慣れたミョウガはどこにもなくて
ありゃっ?ありゃっ?
なんて言いながら
土の上で迷子になってしまったんだ
僕は
ショボショボと家の方へ戻り
叔母さんに言った
おばさーん
ミョウガって、どこになってるの?
すると叔母さんは今度は笑い出して
自分で庭に降りてきた
叔母さんの後を追って
再びミョウガの繁みのところまで行くと
叔母さんはチョコンとしゃがみこんで
繁みの根元の土を指で掘り返しながら言った
ミョウガはなってんじゃなくて埋まってんんさ
土の中から
宝石の粒みたいなミョウガが顔を出した
それは今まで見た何よりも
綺麗なモノのように
感じられたんだ