神の気配 | ひとつ前のかどはさよならサヨナラ



2月末から3月にかけて
父親の深刻な手術という椿事が持ちあがった

僕はひどくうろたえた

父の死の対峙と共に
自分自身の死というモノも鼻先につきつけられたように感じ
しばらく情緒不安定に陥ってしまった


そんな中で
今の自分にとって、父親にしてやれる孝行とは何だろう?
自分に一体何が出来るんだ?
いくら質問の形を変えても、なかなか答えは導きだされなかった

周りの優しい言葉の中には
生まれて来た事だけで
こうして生きているだけで十分過ぎる孝行だと

言ってくれる方もいた

なんだか、その答えは僕にはとても切なく
また堪えた

今まで自分の歩いて来た道を振り返り
どんな時も、ぶつかり合いもあったけど
やっぱりどんな時も
僕の願いや思いに応えてきてくれた父

そんな父の願い
そろそろ、叶えてやりたい
言い換えたら
淀みなく笑って欲しい

励ましたい、
あのAIDSの彼女とシンクロしてばかりだった

僕は
あの時何を思っただろう

思い出し
思い出し

行き着いたのは【声】だった

声に興味を持つ
忘れられない、忘れたくない音といった方が良いかも知れない

だいぶ前の事になるけど、このストロングスタイルに度々登場する
僕が人として大好きな坊さんに
お経を唱える意義について聞いてみた事があった

まったく内容の意味が分からないお経を
皆の前で唱えるのはどうしてなのか?
と、率直に尋ねてみた

すると、坊さんは何でも無いことのように答えてくれた

あっお経はね
別に意味は分からなくていいんです

大事なのはね声、音ですね

お経が聞こえる範囲に【音の空間】ができるしょう?
その空間の中に一緒にいる

と、感じる事のきっかけになれれば嬉しい
そう思うんです
そう言いながら優しく微笑まれた

そんな事を思い出して
音、声
僕は忘れたくない人の声ばかりだと
今つくづく思い感じた

父になるべく元気に話そう
父に声を覚えてもらいたい
安心した声を
そう思ったんだ

そして僕も覚えていたいという姿勢を自分の中で創りたくなった

好きな人の奏でる音は

心の気配、神の気配のひとつと
今は何気なく思うんだ…


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