ストロングスタイル②⑨-3 | ひとつ前のかどはさよならサヨナラ
耳の聞こえづらい『あいつ』は、じっと自分を友達と言った土下座寸前の男を、見ていた

『天誅』と叫ぶ声もザワツキに変わる

俺、覚えてる?小学校の時に同じクラスだったじゃん
そこまで勝手に話してから、男は
あっそいえばお前耳…
と言い
『あいつ』に近寄った

『あいつ』は動かない
男を見据える

男は『あいつ』の目の前まで来ると
ゆっくり口を動かし言った

と・も・だ・ち・だ・ろ

『あいつ』はそれを、さっきとは変わらない顔で見続けて、低い声で言ったんだ

しらねーよ てめえなんか…

辺りの空気が止まった

仲間の一人が
静寂を破るように缶ジュースの缶か何かを
地面に叩きつけた

それが合図になり一斉に男達は袋叩きにされる

『あいつ』は黙ってそれを眺めていた
手には伸縮式の警棒がもう伸びていた
でも、攻撃には加わらなかった

僕は黙って『あいつ』に近づいて
握った警棒を彼の手からとり、しまった

あいつは悲しい目ともとれる目付きで、袋叩きにされる男達を睨んでいた

帰ろう

僕は心の中で言う位の声で『あいつ』の目に言い、肩をポンポンと叩くと歩き始めた

『あいつ』も黙って歩き始めた…

続く