耳の聞こえづらい『あいつ』は、じっと自分を友達と言った土下座寸前の男を、見ていた
『天誅』と叫ぶ声もザワツキに変わる
俺、覚えてる?小学校の時に同じクラスだったじゃん
そこまで勝手に話してから、男は
あっそいえばお前耳…
と言い
『あいつ』に近寄った
『あいつ』は動かない
男を見据える
男は『あいつ』の目の前まで来ると
ゆっくり口を動かし言った
と・も・だ・ち・だ・ろ
『あいつ』はそれを、さっきとは変わらない顔で見続けて、低い声で言ったんだ
しらねーよ てめえなんか…
辺りの空気が止まった
仲間の一人が
静寂を破るように缶ジュースの缶か何かを
地面に叩きつけた
それが合図になり一斉に男達は袋叩きにされる
『あいつ』は黙ってそれを眺めていた
手には伸縮式の警棒がもう伸びていた
でも、攻撃には加わらなかった
僕は黙って『あいつ』に近づいて
握った警棒を彼の手からとり、しまった
あいつは悲しい目ともとれる目付きで、袋叩きにされる男達を睨んでいた
帰ろう
僕は心の中で言う位の声で『あいつ』の目に言い、肩をポンポンと叩くと歩き始めた
『あいつ』も黙って歩き始めた…
続く