なんとはなく、ふらっと映画を見たくなったので
いつものごとくレイトショーで「モテキ」を見に行ってきた。
深夜に一人で行く映画館ってものが、妙に好きだったりするのだけど
はてさて、やはりこの映画の一番の見所は森山未來と長澤まさみコンビの
その後なんじゃないだろうかってのが私的見解。
セカチューからもう7年。
あっという間であったにも関わらず、もうそこには大人の顔つきになった2人が
スクリーンに映し出されていた。
よくよく人生には3度のモテ期が巡ってくると言われるのだけれど
そんなモテ期を簡単に演出するための冴えない主人公が、
森山未來演じる「藤本幸世」
そんな都市伝説と化しているモテ期を扱ったのが本作「モテキ」。
まぁ今更ではあるのだけど、一言端的にこの映画を言い表すとするのならば
サブカルで色づけられたLoveコメ。
そういった意味では「電車男」なんかに通じるところもあったりなかったり。
表面的にはLoveコメであるにも関わらず、案外中身はリアル追求型の
生々しい心情描写って感じで、生々しいが故にチープ感も漂っているような。
そんなチープ感をして、だらだらと間延びして退屈な、とある恋愛模様。
っとこの映画を片付けてしまうのは非常に勿体無い。
生々しいが故に各キャストの心情を追っていくと、
とても面白い人間観察ができる作品なのではないだろうか。
あと私的に面白かったのは、そういったリアルな心情描写もさりとて、
センスの良い何気ないセリフまわしの秀逸さだった。
機会があるのなら、何度か見てそのセリフをよく咀嚼してみたい。
ま、邦画の良さってものは、セリフ回しにつきるんじゃないだろうか。
まぁなんにせよ、このモテ期っていったい何なんだろうね?
一般的にモテる人っというものは、何をその糧として異性にもてるのであろう?
「顔」?「スタイル」?「才能」?
ぱぱっと思いつくだけでもさまざまな要因が見つかるのだけれど。
しかしてそれらに共通する端的な要因はというと、思うよりも難しくはない。
簡単に異性にアピールできるポイントがあるっといった点か。
だからモテる人等と言うものは、特別にアピールしなくても
受動的でありながらに、その魅力を異性に伝えられる人種を指すのではないだろうか。
だからといって、そういった人種が特別優れているわけではないと
個人的には考える。
ただ、「他者に己のアピールポイントを簡潔に伝えられる」にすぎない。
PRポイントが簡潔に伝えられないから劣性である等と言うことは決してない。
簡潔に伝えられるかどうかというポイントに絞れば、
簡便に魅力を伝えることが難しい資質は、その点においてのみ
劣性であると言えるとは思うのだが、その資質においては決して劣性ではありえない。
そして必ずどんな資質であっても、その資質を好む人種は存在する。
いや、資質の好みが分散してもらわないと、人としての多様性が著しく損なわれ
画一的な世の中となって、滅びてしまう事になりかねないのだが。
だからという訳でもないのだけれど、人が人を好きになるポイントは
感覚的なものであって、決して誰者にもそのポイントは測りがたい。
あとはその資質をいつ誰がどこで何で認知するかだけである。
そう、モテる人は常に認知されやすい環境で認知され続けてるが故に
慢性的にモテ期が訪れているにすぎない。
ある時ふっと何かで己の資質を見出され、その資質を好んでくれる異性が現れたなら、
それがたまたま重なったその時こそがその人の「モテ期」に他ならないであろう。
「モテ期」とは、いつ誰にきてもまったくおかしくない唯の一現象にしか過ぎない。
しかしながら、より己の持つ資質をアピールしにくい者達は
その時を認識する機会に乏しく、著しく自信を欠損し、
自信の欠損はさらに「モテ期」を認識する目を曇らせる。
これはそんなモテ期に疎い主人公「藤本幸世」が、やってきたモテ期に翻弄され
ただごくごく普通の現象でしかない「モテ期」がさぞ特別なもので在るかのごとく
錯覚した挙句、迷走する様をコミカルに描きあげた作品と言いえよう。
笑いと言うものはいつも滑稽なものである。
と、言っても自信を喪失していたのは何も主人公「藤本幸世」ばかりではなく
とても可愛くスタイルも良い長澤まさみ演じる「松尾美由紀」然り、
綺麗だけど地味で行き遅れたOL感漂う麻生久美子演じる「枡本留未子」にしても
そうであるのではないだろうか。
人はやはり、どんな資質を持ちどんな環境にその身を置こうと
人から認められること、人から愛されることに飢え、そして迷う。
キャスト達はそれぞれがそれぞれにそれぞれの事情により、その迷いは違うものの
やはりその根底にあるものは「愛されたい」「認められたい」の一点であり、
そんな自信を喪失しつつ他者からの愛を求める者達のこの喜劇は
人類普遍のテーマなのであろう。
この映画は最後、華やかな業界に身を置き、ましてや更に仕事ができ
容姿も申し分なく完璧とさえうつる既婚者をその彼とする事で、
自身のプライドを保っていた、いやそうでなければ自信を保てなかった
ヒロイン「松尾美由紀」が、自身のプライド維持装置であった彼から離れ
自分の心に素直に従い、「藤本幸世」に想いを寄せ、
モテナイ事に劣等感をもち、どうやっても自分に自信がもてず卑下し、
ただ受動的に相手からのアプローチを待つだけであった草食男子の
主人公「藤本幸世」が、高嶺の花と言うべき「松尾美由紀」を追いその手に掴み、
恋愛を通して成長していくラストシーンへと続いていく。
書き出して見れば単純な恋愛劇にすぎないのだけど、
それにサブカルを巧みに挟み、人の心の揺れ動きにリアリティを与え、
これといった主張が見えにくく、盛り上がりに欠ける映画ではあるのだけれど
クスっと笑える良質のラブコメディになっているのではないだろうか。
映画をみたぞーって感覚には成りがたいけれど、
もう一回見て見たいなって思えるような映画でした。
ま、それもこれも最後の長澤まさみの笑顔なんですけどね!
てか、長澤まさみ可愛すぎるだろうJK
(;´Д`)ハァハァ/lァ/lァ/ヽァ/ヽァ ノ \ア ノ \ア / \ ア / \ ア