最終話
次の日。
絶好のデート日和。
今日は、アタシと裕斗の
初デートの日。
2人で決めた、
遊園地に来ている。
「ちょっと早すぎ
ちゃったかなぁ?」
腕時計を見ながら、アタシは呟く。
その時。
「ごめん!遅くなっちまった」
裕斗!
「だ、大丈夫!アタシも今来たとこ」
「じゃっ・・・早速いくか!」
「うん^^」
あれ、チケットっていくらするんだっけ・・
「ねえ裕斗、チケットって・・」
そう言いかけると、
すかさず裕斗は
「いいよ気にしなくて。
チケットは俺おごるし!」
と、アタシの心を見透かしたように言った。
「あ・・・りがと」
「どういたしまして」
どきんっ!
裕斗の笑顔に、あたしは弱い。
いつもそんなに笑顔なんか
見せないのに、
アタシと2人の時は、
裕斗はいつもまぶしいくらいの笑顔。
・・・その笑顔に、アタシは・・・
今までたくさん、救われた。
そんなことを考えていると、
裕斗はチケットを持って待っていた。
「あ・・・ごめん!」
アタシが謝ると、
「だから気にすんなって。
考え事ぐらい誰でもするだろーよ」
「えへへ・・・ありがとう」
「じゃあ・・・何乗る?」
裕斗は聞いてくるけど、
アタシは遊園地とか
来たことないから、
何があるのかも分からない。
「え・・・っと・・・
裕斗が好きなやつでいいよ。
アタシよくわかんないから」
「わかったじゃあ・・・
まず手始めとしてジェットコースター行くか!」
ジェットコースター?
何が何なのか分からず、
裕斗に着いていく。
ってか裕斗、行くのいいけど
歩くの早い!
「ちょっとまっ・・・」
そういいかけ、裕斗に手をのばそうとした、
その時・・・
「きゃっ!」
小石に足がつまづいた。
倒れこむアタシを、長い腕で
裕斗は助けてくれた。
「ごめん、歩くの早かったか?」
「う・・・・・・・ん」
すると裕斗は、何か考えこむように
頭を抱えていると、
「・・・・じゃあ・・・・
手ぇつなごっか。」
「ふぇっ」
びっくりして、思わず手を引っ込めてしまった。
あ、どうしよう、裕斗気悪くしちゃったかな・・
「ごめん裕斗、そんなつもりじゃ・・・・
あの・・・・つな、ごう?」
ヤバい、アタシ今絶対顔真っ赤だよ。
恥ずかしい・・・・
「ん」
一言そういって、裕斗は手を差し出した。
その手の上にアタシが手を置くと、
裕斗は優しく、包み込むように握ってくれた。
端からみたらアタシ達、
ちゃんとカレカノに見えてるのかな?
アタシなんか美人でも何でもないから、
兄妹だって思われちゃうかな?
でももう・・・そんなのどうでもいいや。
アタシは、裕斗の側にいれればそれでいい。
裕斗が側にいてくれれば・・・
裕斗の笑顔が見れれば・・・それでいい。
と、そんな事を考えているうちに、
ジェットコースターとやらに着いてしまったみたい。
見ると、それは・・・
「ぎゃああああああああああああ」
「しーんーじゃーうーーー!」
そんな激しい声が聞こえてくるものだった。
何コレ何コレ!
これが一番最初!
こんなの乗って生きてられるの!?
「ぷっ」
え?裕斗?今笑ったの!
「な、何で笑うのっ」
「だって柚音、これ見てメッチャ
あわあわしてんだもん!
おもしろいってば!あはははっ」
「む~・・・・しょうがないじゃん
始めてなんだし!」
裕斗だってこんなの乗れるの・・・?
心配で胸がはちきれそう!
「始めてなんだったら・・・
観覧車いこうか?
あ、でも観覧車は閉園間近に・・・」
そうぶつぶつ言っている裕斗を横目に、
観覧車を見てみた。
それは、あまりにも大きくて・・・
それでも、動きはゆっくりだった。
あれなら、乗れるかも!
「ねえ裕斗、アタシ観覧車なら・・・」
そんなアタシの声は、
裕斗でも他のお客さんでもなく、
遊園地の従業員のお兄さんに遮られた。
「はい、ここのカップルさんは
乗り物の一番後ろにお乗りくださーい」
へっ!?
「あー・・俺達知らぬ間に並んでた列に
入ってたっぽいな」
あははと笑う裕斗、何ソレ!
もうこんなの嫌だよお~~・・・
「ま、せっかく入ったんだし、
乗ってこーぜ!ほら柚音、入った入った!」
「わっちょっひろ・・・・」
そう言いかける暇もないまま、
ジェットコースターは出発してしまった。
「・・・・もう・・・何なのよこれえ・・・」
ジェットコースターを乗り終えたアタシと裕斗。
「でも、おもしろいだろっ?」
無邪気に笑う裕斗。
もう、そんな顔されたら嫌でもおもしろいって言えるよ・・・
でも、アタシの本音は・・・
「うん、すごいおもしろかった!」。
「だろ?!じゃあ、次は・・・」
そうしてアタシ達は、閉園ギリギリまで遊んだ。
「な、柚音・・・最後に観覧車乗らない?」
「え。うん・・いいけど」
「わあ・・・観覧車から見る遊園地の全景って
こんなに綺麗なんだね・・・」
「だろ?これを、柚音に見せたかったんだ」
「え・・・アタシ、に?」
「うん。柚音にさ、
元気になってもらいたくて」
「ほんと?
・・・ありがとう」
・・・裕斗がここにいてくれる。
それだけでアタシは・・・
いつだって、強くなれた。
裕斗への好きの気持ちが・・・
アタシを、変えた。
裕斗が、変えてくれた。
これからもアタシは、
裕斗が、側にいる限り、
変わってゆくことだろう。
あなたの側で・・・・・
~Fin~