なんだかんだ嫁さんのことを
愚痴ってはいたけど
大事だったんだと思う
情もあったはずだ
だけど私の事も好きになってしまった
それだけの事で
私の事を好きになってしまっただけ
好きになったらキスもしたいし
抱きしめたいし
セックスもしたい
それだけの事で
離婚したい なんて言ってたけど
実際は
なんとかなるだろうくらいにしか
考えてなかったと思う
好きになってしまった私と
ただただ一緒にいたくて
幸せで そんな君だったんだろう
だから嫁さんにバレて責められると
足元ガラガラで
あんなに大好きだった私の事を
嫁さんに売った
住んでる場所も名前も全て
だけど売りながらも
私を好きな事は変わらなくて
選ばなかったくせに やっぱり好きで
でも売られたこっちはたまらない
もちろん君の嫁さんもたまらなかった
とは思うけど
すごく責めただろう 君の嫁さん
なんでなんで!って怒りまくっただろう
君は小さくなって謝るしかできなかったろう
不倫がバレたらそうなるよな
そして私に君からラインがきた
「もう会わないでください
迷惑です」ってね
そう 送ってきたのは嫁さん
私の家に君と嫁さんが来たこともある
「もう会わないよね?この人と!」
嫁さんは君にキツく言い放つ
君は小さくなってポツリと
「…会いません…」
何年前だっけな このやり取り
だけど
細々と 私と君は
まだ思い合っている
とはいえ 君は離婚しないわけで
ずっと嫁さんと生きることを
決めているわけで
ならさ それだけで良くないか?
嫁さんは選ばれてるんだから
旦那さんの心を奪われたのが
悔しいのはわかる
わかるけど
人の気持ちはその人自身のものだし
そういうこともおこるだろ
生きてるんだから
変わらないものなど何もないんだから
心が動くことだってあるだろ
聖人君子なんていないんだ
誰だって黒いところはある
あるんだって そういうとこ
誰でも
それにさ
真っ黒があったとしても
嫁さん側は白いままだからこそ
嘘をつくし こそこそするんだよ
ならば
グレーを受け入れるのも
生きていく上では必要ではないのか
起きてしまったことをいつまでも
責めたところで意味がない
なんでそうなったの?って聞かれても
そうなったもんは仕方ないんだ
答えなんてないんだよ
それがどんなに最悪なことでも
起きてしまったなら
この先どうするかを考える以外
方法はないじゃないか
君は離婚しないことを選び
心の中で私を思う事に決めたんだろう
それが許せない!と嫁さん側は
考えるかもしれないが
君は口には出さないはずだ
この先一生嫁さんには言わないはずだ
りりさんが今でも好きです
なんて絶対言わない
ならば
それはそれで真実だろうがよ
それが君たち夫婦の真実になるだろ
私と君の恋は
私と君の心の中にしか存在しない
嫁さんと君の人生に比べたら
ミジンコみたいなもんだ
未来も過去も 今さえもない
それでも会うと嬉しいのは
君も 私も
嫁さんはさ
私だけを見て!なんて
小学生じゃあるまいし
そんな事で泣かない方がいい
そんな言い草はやめた方がいい
私を見て くらいで止めるべきだ
ならば大丈夫
君はちゃんと嫁さんを見てる
だからこそ離婚しないんだから
愛したその人は人間だ
間違えることも
すれ違うこともある
それでも一つ屋根の下暮らせるなら
十分じゃないか
ここまでも生きてきた
そしてこれから先も生きることが出来る
それ以上何を望むんだよ
めでたしめでたし
で
人生は終わらないんだから
色々あったけどいい人生だった
そんな風に言い合えるのは
夫婦として生きた君たち夫婦
私は
ひっそり1人でそう思うだけだ
でもそれもまた 人生だ