昔、といって具体的にいつかはもう忘れてしまったが、でも高校の頃かな、東京に行きたいなあと思い始めたときがあって。

たぶんTVドラマなんかでみていたのだろう、記憶の中の「想像の東京」は、なぜかいつも夜だった。

背の高いビルに明かりが付いていて、それがいくつもあって、それを少しだけ遠くに見ながら想像の東京に住む僕は静かな夜道を歩き、あるいはそれ自身も結構高いビルの結構高い階の自分の部屋でTVなんか見ていた。

実際の東京生活はむしろ明るい中での記憶が多いし、ずっと雑然としたイメージだ。


牛乳を買いにコンビニに出かけたとき、ふと見上げると、名古屋駅のツインタワーが輝いていて、そのことを思い出した。

いま住んでいるのは12階建ての10階だし、ベランダに出れば静かさの中にツインタワーの明かりが見える。

望んでいた生活、というわけでもないが、既視感を感じる生活ではあるかもしれない。不思議な感じ。

こういう感覚って、都会の人には分からないものなのかな。地方出身者にすら分かってもらえないかもしれないけれど、たぶん僕は夢見がち、というより妄想好きな奴だったんだろう。