今日4月30日は「図書館の日」

 

連休のど真ん中ですね

 

旅に出ている人

山にいる人

海にいる人

日本にいない人

家にいる人

病院にいる人

学校にいる人

職場にいる人

 

もしや、図書館にいる人

 

やりたいことが出来ていますか?

やり残していいることはありませんか?

 

 

 

自分の子どもに上手に絵本を読みたくてNHKに入った、

という黒柳徹子さん

こんな素敵な本をとどけてくれました

徹子さんの初めての絵本です

 

「木にとまりたかった木のはなし」 

 4月は、新年度のはじまりです。子どもたちにとっては入園式、入学式、大人にとっても入社式というのもありますね。この季節は「新」という文字がたくさん溢れます。新しい制服や帽子、鞄、文房具、新しい教科書、新しい先生や新しい友達。新しく出会うものすべてが、これから始まる生活への待ち遠しい気持ちを後押ししてくれるような気がします。

このお話は、全く新しい考え方で、今までやったこともないようなことに挑戦した「木」のお話です。

 

 あるところに木がありました。

いろんな鳥が、その木にとまっては、じぶんたちが みてきた 

せかいじゅうのことをはなしあいました。

そして、鳥たちは さいごには かならず こういうのでした。

「ああ、木にとまるのって、きもちがいい!」

ある日、木がいいました。「ぼくも 木にとまってみたい」

「いつも しんせつに とまらせてくれる 木のおねがいだもの、

どこか みはらしのいい木に とまらせてあげよう!!」 

鳥たちは、みんなで 木を もちあげました。

 

木は、空を とびまーす!

 

おかのうえに たっている 大きな木のうえに とまった木は 

うまれて はじめてみる、いろんな けしきをみて とっても びっくりしました。

「あの青くて 高いものは なあに?」 「あれは 山!」

「子どもが あそんでいるところは? 「こうえんよ!」

「それから 赤いやねの塔は?」 「とうだいよ」 

「あの音は?」 「きょうかいのかね!」

 

「あれは なあに?」それは 海でした。

木はとても海が きにいったようすでした。

「ほんとうだ、木にとまるのって きもちがいい」

「あの海にうかんでいるのは なあに?」 「あれは 船!」

「ぼくは あの船にも とまってみたい!」

 

木は また空をとびまーす! 

 

 とうとう木は、船にとまりました。よろこんだのは 船長さんでした。

その船は あらしで マストがおれて、うごけなかったのです。

船長さんは おふろばから おふろおけを もってくることにしました。

船長さんは おれたマストのかわりに 木にロープや 帆をはりました。   

さあ、しゅっぱつです。

船は どんどんすすんで 南極に つきました。ペンギンやアザラシにあいました。

海がだいすきな木も あらしのときは とってもこわいと思いました。

木は かみなりがきらいでした。あたまにかみなりが おちてきて、

まるでハゲになった 木の友だちのことを 思い出したからです。

 

船は こんどは あたたかいほうに すすみました。

木は きれいな 花をさかせました。木に実のなるきせつがきました。

おなかをすかせた たくさんのこどもたちが船のまわりにきました。

船長さんは つぎつぎに 赤いおいしい実を 子どもたちにわけました。

子どもたちは、おれいに、じぶんたちでつくったがっきで 

おんがくをえんそうしました。

たべた木の実のたねを じぶんたちの島にもってかえり、まきました。

芽をだし、木になり、花がさき、実がなり、

それからというもの こどもたちは 

おなかをすかせることは ありませんでした。

 

なんねんかが たちました。

空をとんだ あの木も、すっかり としをとりました。

木は船からおりて、みはらしのいい 丘のうえに 根を下ろしました。

そして、わかい鳥たちがくると わかいころの、

空をとんだぼうけんばなしをして、きかせました。

 

 みなさん!

きょうも 空をみて ごらんなさい。もしかすると、鳥たちが はこんでる 

木にとまりたかった木が みつかるかも しれませんよ。 

みなさんだって、木にとまってみたいと おもうでしょ。

これは、そうおもっている 女の人がつくった おはなしです。

 

 この絵本に出会った時、最初に頭に浮かんだのが、

長新太さんの「ぼくはイスです」でした。

~~~「みんなぼくの上にこしかけるけど、ぼくも何かにこしかけてみたいな」

そう思ったイスは、さっそく、あちこちにこしかけてみます。

~~~イスの大冒険の話です。私も我が子たちも大好きな作品でした。

長新太さんの絵本は、今まで見てきたこととは別の視点で周りを眺めてみる、

そうすると全く別の世界が広がることを伝えてくれました。

 

この作者の黒柳徹子さんもきっと、そんな人とは別の目線を常に持っている方なんだと思います。彼女の子供の頃を描いた作品「窓際のトットちゃん」にも通じた場面がたくさん登場します。

~木が木にとまりたい~なんて、誰も気が付かないかもしれませんよね、でも徹子さんは日々そう思っていたのでしょう。木登りが大好きで、日常の生活にあるっていうのは、目線の変化の基本だったのかもしれません。

 

この作品の誕生についての、エピソードは、作品の中にも紹介されていますので詳細は省きますが、

何といっても武井さんの描く絵の世界がなんと素晴らしいことでしょう。

子どもの向けの絵を「童画」と命名して、芸術にまで高めた人です。

この人の力なくては、今の絵本に繋がらなかったもしれません。

しかも、武井さんの絵は時代を超越した新しさがありました。

当時は新しすぎて理解されなかったこともあったようですが、だからこそ、今も全く古びることなく輝きを放っています。

武井さんの絵が大好きだった徹子さんのお願いを笑顔の二つ返事で引き受けた直後に亡くなってしまった、武井さん。

その父の残した膨大な絵探しをしてくださった娘さんのご尽力で完成しました。

そんな二人の、たった一冊の奇跡的な作品です。

 

ここでは、ほんの一部での紹介ですので、

黒柳さんが伝えたかったことの言葉の深さと

まるで言葉を知っていたかのような武井さんの絵の世界を

ぜひ手に取って感じてください。