「先生は夏休みの間、何やってるの?ずっと休み?」
「えっ…? 2学期の準備だよ…授業とか…」
通常であれば、それが普通だ。
でも、今の僕は違う。
あと2カ月もしない内に任期が切れる。
その後、僕がどうなるかは僕自身わからない…
すでに今の自治体を干されている身、
再び仕事はなくなるだろう…
たまたま今回は教員不足で引き受け手も誰もいなかったから、僕の所に仕事が転がり込んできただけだから…
正確には「今回も」か…
以前、地元自治体を干された後、同じ地元自治体から1度だけ仕事のオファーが来た事があった。
もちろん、引き受けた。
しかし、いつまでたっても学校長から連絡が来なかった。
校長は僕の採用に相当躊躇っていたらしい。
教員経験はなく、長年民間で勤めてきて、民間採用枠で校長になった人だから余計に慎重だったようだ。
干されていた僕は、言うなれば、『ワケあり物件』みたいなものだから…
最終的には経験と実績を買われ、「暫定的に」採用されたわけだが…
教育委員会から僕の所へ連絡が来てから、校長が渋々僕の採用を決断するまでに実に1カ月以上の期間を要した。
その1カ月以上もの間、生徒たちはずっと授業無しで自習だったらしい…
(そっちの方がよっぽど問題なのだが…)
せっかく戴いたチャンス、
再び信用を得るために僕はこれまで以上に懸命に働いた。
体を壊すほど懸命に。
その間、別の自治体から6校も仕事のオファーを戴いていたが、全て丁重にお断りした。
どうしても、地元で働きたかったからだ。
そして、この学校での仕事をキッカケに地元自治体の教員として完全復帰できると確信していた。
しかし、その学校を任期満了後の次の仕事は用意されていなかった。
任期満了後は、待てども待てどもこの自治体での教員の仕事は来なかった。
そして、あの学校に任用前と同じ状態に戻ってしまった。
つまり、再び干された。
干されるまで、長年、この自治体で臨時的任用教員として働いてきたが、
このような経験は一度もなかった。
だから、あの学校を任期満了後も、
(干されるとこうなるのか…)
と再び思い知らされたのである。
干される前までは、干された教員がその後どうなるかなど全く知らなかった。
知りようがなかった。
前例がないからだ。
長い教員生活で、いわゆる、『出戻り教員』を1度も見たことも聞いた事もなかった。
何をやればNGで干されるかは、この業界に入った頃から諸先輩方や管理職から聞かされて知っていたが、
そのNGな事(任期途中に依願退職)をやらざるを得ない事態に直面し、
※義甥の問題行動で多くの人に大きな迷惑をかける前に「任期途中に」自ら辞職した。
自ら職を辞した後、案の定
干され、
自らの身を持って「干されたらどうなるか?」を思い知らされる事となった。
この記事を読んで、「そんな厳しい業界なの?」と驚いた人もいるかもしれない。
しかし、考えてみて欲しい。
たとえば、コンビニを経営していて、アルバイトの学生が自分勝手な都合で突然勝手に辞めてしまったとする。
もし、そのバイト君が再び同じコンビニにバイトに応募して来た場合、果たして雇う店長はどれだけいるだろうか?
簡単に言ってしまえば、そういうことである。
干された後、
全てが激変した。
仕事も。
生活も。
将来の計画も。
人生も。
何もかもが変わってしまった。
当然、僕の人生だけではなく、
妻の人生も。
それだけではない。
長年にわたる義甥の問題行動、犯罪行為。
殊にコロナ禍が始まって以降は酷すぎで…
僕が仕事を干される前の義甥の問題行動の方がまだマシだった。
直接、彼の問題行動によって誰かが死ぬような危険性は無かったから。
大勢の人に大迷惑をかける危険性は十分あったのだが…
しかし、
コロナが始まって以降の彼の問題行動、犯罪行為は、それまでとは違った。
家族や彼の職場の同僚、同僚の家族、そのほか不特定多数の多くの人の命が、彼の問題行動によって危険に晒されていた。
義甥は、どれほど注意されようが、何故それがいけないのか諭されようが、一切意に介さず、犯罪行為、問題行動を繰り返す。
いや、それどころか、そういった行為をますますエスカレートさせていった。
そのような状況に危機感を抱き、同時に、それを止められない自分に責任を感じた僕は、彼の愚行を止めようと、ある行動を起こした。
※『ある行動』とは、彼の職場である陸上自衛隊の上司に彼の問題行動を報告し、上司からの指導をお願いしたこと。
しかし、残念ながら、上司の指導があっても、彼の問題行動は止まるどころか、ますますエスカレートしていった…
僕が取ったその行動は、子供社会でいうところの『チクリ』であった。
それに腹を立てた義母と彼の両親が、いわば、逆恨みの犯行という形で僕らに報復をした。
それが例のアパートごっこであった。
悪行三昧の義甥を止めるために最後の手段として取った僕の行動(彼の職場の上司への相談)に対する腹いせに、本来、良き見本・模範であるべき彼の両親と義母が倫理感も道徳心も完全に無視した形で非道な暴挙に出るという…
やっていることが、もはや、反社と同じだった…
そして、その被害者は僕ら夫婦だけではなかった。
ショックを受けた母はパニックを起こし、
認知症は一気に悪化し、
食欲は大幅に減退、すっかり衰弱してしまった。
今ではガリガリに痩せて骨と皮だけである。
すずめのエサほどのご飯しか口にしない。
栄養源は数週間ごとに僕が手渡す野菜ジュースのセットだけである。
収入もない上に住まいも失い、
新たな住まい探しや今後の僕らの生活苦を見越して
知的障害の兄は昨年2月から生活保護に頼ることに。
昔から誰かの世話になることを殊更嫌っていた父にとって、それはどれだけ無念だろう。
そして、晩年にどれだけ不安なことだろう。
家族も巻き込まれる形で
皆の将来、
人生、
すべてが変わってしまった…
すべてが非常に苦しいものとなってしまった…
今の学校も任期満了すれば、再び干されるだろう。
そうなれば、別の自治体に行かなければならないし、
妻とも、介護が必要な親とも、知的障害の兄とも離れて暮らさなければならなくなる…
不安要素があり過ぎて、頭の中はもういっぱいいっぱいだ…
もう疲れた…
冒頭の問い「先生は夏休みの間は何をやっているの?」に戻る…
僕個人の話で言えば、
僕がこの学校を去った後に来る人に引き継ぐ仕事、
(着任早々、全く分からない仕事が一気にドサッと降り注いで来るんだろうな…)と不安いっぱいで来るであろう次の人が、少しでも安心できるよう、少しでも楽が出来るよう、夏休み期間中に2学期から3学期の学年末までの仕事を全て終わらせてしまう事。
僕がいなくなった後の今年度の残りの仕事を全て終わらせておくこと。
それが、この夏休み期間中の僕の主な仕事だ。
短期間ではあるが、地元で再び僕を働かせてくれたこの学校への恩返しであり、置き土産である。
最後に…
誰もが守って当たり前のルールを守らず、不特定多数の人の命を危険に晒す義甥には、これらの記事を理解できるまで何度も読ませ、反省させたい。
彼こそがまさにその「ルールを守らない大人」なのだから…
通学路事故で長女失った風見しんごさん“ルール破る大人が命奪う”
①ルール守らぬ大人の犠牲に 6歳長女亡くした父「後悔消えない」