手術当日は朝からシトシト降りしきる雨。
夜通し仕事でまだ帰宅できない夫にかわり、
私の母に子供たちの保育園への送りを任せて早めに大学病院へ。

出産以外で入院するのは初めてで
のんびりベッドでゴロゴロしながら手術で呼ばれるのを待つ。
本を読むこと二時間。分厚い本持ってきてよかったと思っていたところ、看護師さんが呼びに来てくれる。

手術台に自ら上ると、金属の板を腰の下に敷かれる。
「点滴いれます、痛くないかな?」
「はい、ちょっとじっとしててね」
明るい看護師のお姉さんたちがテキパキと動くようすは手術前だけどなんだか眩しくて楽しい。

若い男性医師が、麻酔を入れながら
「あれ、luomaさん、お酒つよいですか?」
不思議そうに聞いてきて
「弱くはないです…」
と答えてから急激に意識が遠のいて。

「はい、もう少しで切り取れる」
「あれ、もう起きちゃいましたか?」

次に目を覚ましたときはほぼ、手術終わりかけ。
でも、肉の焦げるような匂い。

あ、私の術野か。でも全く切られてる実感ない。
先生、私と目があってちょっと焦ってるな。
 
「無事に終わりました」
肩に手をおかれ、
「ありがとうございました」
麻酔の名残か、舌足らずな口調でこたえて自らキャスター付ベッドに乗り移る。
「回復早そうですね。これなら、病室に戻ってすぐ退院できちゃうかな」
看護師さんが明るく元気付けてくれる。

病室に戻り、またゴロゴロ。麻酔が完全に覚めたら昼食を用意してくれるとのこと。
まだ眠いし少しだけ寝よう。
そう思って数分寝てみる。
目が覚めると悪阻の酷いときのような吐き気が。
トイレになんとか行ってみると、傷跡を焼いたためか、出血はほとんどない。痛みもない。

そこから三時間近く、ただただ吐き気と格闘し、
でも治らず、一泊せずに帰宅したいので治ったふりをして無理矢理退院手続き。
フラフラしながらタクシーに乗り込み、有事のときのためにビニール袋を握りしめながら帰宅。

帰宅後も子供と会話もままならず、夫にすべてお願いして一人就寝。
吐き気がやっとおさまったのは、夜中すぎ。

地獄のような麻酔の副作用が終わり、その日からは二週間近く、出血はあるけれども平和な日が続きました。