「ひとりの時間、無になる時間は必要だよ」
わたしの彼は、よくこう言う。
彼はよく、無になる。どこかへ旅立つ。誰かがそこにいたとしても、彼は沈黙を守り、どこを見てるのか、目を閉じているのか、心はどこにあるのか…どこかに行っちゃう。
それは見てるわたしとしては寂しくもあり、そして美しくもある。
高校生のとき、わたしは彼のそのひとときを遠くからよく眺めた。
無になる彼を眺める時間は、わたしにとっても無だった。
廊下から聞こえる笑い声、ドアが開く音、誰かが爆音で流す音楽。
それすらもうっすら、どこか遠くへ行って、わたしはどこかに集中する。
それは女の子の…乙女の幸せそのもの。
海にひとり座り、祈るときに似ている。
愛する人のことをただ想うだけの時間は尊い。
知らない誰かが見たら、孤独に見えよう、
だけど、どこかへじぶんが行ってしまう…無になる、ひとりの、時間、必要だよね。
幼いころ、ただ草をいじり、何かを見つめた。
水の流れを感じながら、石に触れた。
水の冷たさを感じながら、ただ立った。
何を書くかわからないけど、えんぴつの奏でる音だけを聞いていた。
空をながめて、空の奥深さを感じた。
星が美しかった。
シャボン玉が消えていくのだけを見ていた。
小さなころ、の、ひとりって特別だった。
となりに誰かがいても、ひとりの時間をもてたものだったな。
わたしたちは、しばしば、
感じること、何もしないことに罪悪感を感じたりする、
大人になって、なお。
時間管理を考えるようになって、
頭が忙しいときに与えられた、ひとときは、わたしの大切なものを思い出させてくれた。
孤独は創造だ!
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