ナハトムジークの原形ができたのは2021年の11月中旬くらいだろうか?レコーディングまで1ヶ月を切るかどうかというところ、だったと思う。恒例のLUNKHEADあるある、曲もないのにスケジュールだけ決まるパターン。今まで何度そんな目にあってきただろうか…。追い込まれるほど冴えるのでもう誰も心配しやしない。なんなら、今度こそムリだ…と言っても、またまたあ♡そんなこと言ってどうせできちゃうんでしょ~?と言われてしまう。そう、できちゃうんです。ていうか、それこそ追い込まれないとできない。なんでだろ~?夏休みの宿題とか、7月にほとんど終わらせるタイプだったんだけどな~?そんなわけでナハトムジーク。8月のみかん祭から繋ぐをライブでは披露してきたわけだけど、年明けにいよいよ新曲をリリースしよう!!ってなった時に、やっぱそこで新曲リリースします!繋ぐ!!じゃ面白くないよな、と。そこはまっさらな新曲じゃないと盛り上がらないよな、と。誰が言ったんだ。そう、俺です。アチョ~!!その時にはスパイスやざわついて、いるのデモはあったんだけど、彼らはかなりLUNKHEAD的には新しい感じの曲だったからポップだけどシングル向きではないな、という話になって、じゃ、作らないとじゃん!ってなって、それが10月終わりとか11月頭とか。シングル曲、それもすごい曲を作らなければいけない。すごい曲ってなに??と思いながら。それこそ、ホームラン打て、のサインです。打てるもんならみんな打っとるわい!という中で、できたのがこの曲。新しいLUNKHEADでありながら王道のLUNKHEADでもある、そんな曲が見事にできた…!!デモの段階でメンバー全員、満場一致でこれだろう、と。当時、維新前進ツアー真っ只中で、そのツアーと同時進行で曲も作ってたのでなかなか頭の中の切り替えが大変だった。だけども維新前進ツアーで日本中のみんなに会えたからこそ出来た曲だとも言えるからすべては繋がっているのです。ほんと、それこそファイナルのLOFTの直前にデモをメンバーに送ったんだと思う。LOFTの楽屋で山下君、マスター桜井、悟、それぞれに、あの曲だと思うよ?という言葉をいただいた。あれ、1年前かあ。もっと大昔な気がする。思えば遠くへ来たもんだ。と思って振り返ると、なんだ、こんだけしか進んでないや、みたいな。だけども立ち止まってはいない。亀の歩みでも、前進は前進だ。で、ナハトムジーク。曲はできたものの、アレンジが結構大変だった気がする。スタジオに入って悶々と…。なんていうか、これぞLUNKHEAD!!って曲にしたかったからデモの段階でほとんど作り込まなかった。みんなで作り上げたかったから。そのせいでまあもう揉めた揉めた。あんまり思い出したくもないのでしんどいところは大体忘れてしまった。めんどかったことだけは覚えている。みんなよく頑張ったよ…
展開としては非常にシンプルのようでちょっと凝っているようで?1サビが終わって2回目のAメロ的な(でもメロディがちょっと違う)からの間奏、からのBメロ、サビ、そして大サビ。実は凝っています。1番2番という感じではなく、1曲通してひとつの展開というように。大サビは開かれていくようなコード進行にしたかった。デモの段階ではそこはアウトロ扱いだったんだけど、歌詞を書く段でそこにメロディをつけちゃって大サビにしたんだけどうまくハマった。リズムも随分揉んだなあ…。結果的にどんどん開かれていく感じになったのがよかった。大サビのメロディの最後の1音を1度ではなく6度に落とし込んだのも個人的に気に入っている。それがすべてだ↑ではなく、それがすべてだ↓にしたところ。
デモを聴いた感想では山下君が1サビ後のAメロは要らないんじゃないかと言っていた、が、歌詞を書き進めているとやっぱり必要な部分だと思ったのでお構いなしにそこも歌詞を書き上げてしまった。歌詞さえ書けてしまえばこっちのもんじゃ~。そこはさ、歌詞があるから削れないのよって言っちゃえばいいのさ~。とは言えこれも結果論だけど、やっぱり1サビ後はAメロに戻る展開でよかった。その分間奏のギターソロへの展開がドラマチックになったと思う。
レコーディングは繋ぐとナハトムジークの2曲を2日間で録った。2日で2曲、まあ潤沢というわけでもないけどもタイトすぎるというわけでもない。極めて真っ当な、なんなら贅沢な、と言っても過言ではない行程だと思うけど、なんでか山下君は謎に時間がないとキレ気味だった(ラジオでもキレていた)。マスター桜井も悟もささっと録り終えて、俺も順調に歌録りが終わって、残りはもう好きなだけ山下君のギタータイムどうぞ、のつもりだったんだけど、なんかやたら機嫌が悪かった。早く録れりゃ偉いのか、と。いやいやリズム隊や歌で時間かかってギターダビングの時間が足りなくなったらそれこそヤバいやん、と思って頑張っていたんだけどな。そんな感じで、現場は大変ヒリヒリしておりました。ロックバンド然としていて良い良い。ザラついてないとね。仲良くなんてやってちゃダメなのよ。喧嘩腰じゃないとね。ウソです。いや、ウソでもないか。毎回、レコーディングは独特の、焦燥と軋轢が入り混じった、重苦しく殺伐とした雰囲気があります。それじゃなきゃダメだろうと思うところもあります。真剣だからこそ。
話は前後しますが、曲ができて、さあ歌詞だ!ってところで、これまた何を書けばいいんだろうな?ホームラン…ホームラン…と。
最近、お手紙をよくいただきます。こんな時代だからSNSで気軽にコミュニケーションが取れてしまう。だからこそ、お手紙をいただくことは特別なことだなあと今改めてしみじみ思います。封を切り、便箋を開く瞬間、直筆の文字を読む時間、そこに込められた思いは俺だけに向けられた特別なものなので、誠意を持って受け止めなければといつも思います。誰にでも言えることではないような内容も少なくない。そこで俺ができることもないのだけど、だけどもそこにただ俺がいたことで少しでも心が軽くなれるのだったらいくらでもそこにいたい。それこそがLUNKHEADがLUNKHEADであり続けてきたことの意味なんじゃないかなと思うのです。俺らはただ、あなたの眠れない夜に、不安な夜に、なんの力もなくていい、ただそこにいたいだけだ、あなたがふと周りを見回した時に、独りじゃなくて済むように。そんな思いを言葉にしたのがナハトムジークでした。ナハトムジークは、何度も言ってきたけど「夜の歌」という意味です。モーツァルトのアイネクライネナハトムジークから言葉をいただいてます。不思議なもので、お手紙をくれる方もみんなライブ中はキラキラに笑顔を俺に向けてくれます。だけども当たり前だ。それだけなわけがない。日々色んな思いに押し潰されそうになりながらみんな生きてる。それでも、笑ってくれる。それってものすごいことだと。だから俺は歌えるし、だからあなたは笑える。今、その瞬間、笑いあえていること、その時だけはそれがすべてじゃないかと思うのです。魔法のような瞬間。生きているんだなあと心の底から思えます。だからほんとにありがとう。ありがとうなのです。
いつも言ってますが、LUNKHEADをLUNKHEADにしてくれてありがとう。
俺らが存在できるのはあなたの心の中だけなんです。
本当にありがとう。
LUNKHEADがLUNKHEADだからこそ生まれた
新しいLUNKHEADの王道を切り開いた曲だと思います。
ずっと大事な曲になるんだろうな。
これからもどうぞナハトムジークをよろしく!!