リノセントを作るにあたって
今回こそ山下曲を入れよう!って話になり
そして山下君から送られてきた曲がこのスポットライト。
(その時の仮タイトルはStrangerだったが、なぜStrangerなのか昔すぎて本人も覚えていないそう)
山下曲の最後はメメントモリのraindrops
バンド曲で言えば青に染まる白の未来は今ここに以来
なんと10年ぶり!!

家の時に、山ちゃん曲作らんのん?と聞いたら
彼はシベリアあたりを眺めるような遠い目で
あー…うん…もう、いいかな…
と呟いた。
ズコー!!
もう、いいかな…じゃねーよ!!

そんなこんなで11年ぶりの山下曲
デモを聴いた印象は、俺としては
パーリーパーリー感とは真逆の
むしろ、重厚な曲きたな~という感じだった。
Bメロの転調もDからF(Dm)へ
ふわりやざわついて、いると同じ同主調なはずなのに
俺が作る曲とは全然聴こえ方が違って不思議。

山下曲は過去の曲もみんなそうだったんだけど
スタジオに入ってみんなで合わせる際に
何故かデモ通りにやらないとしっくりこない。
なんでなのかマスターも悟もわからないと言う。
俺も毎回、デモの段階でしっかり作り込んでるな~と思うんだけど
でも山下君は全然凝ったことしてないと言う。
そんなわけで
俺の作った曲だと縦横無尽にトゥルペトゥルペしまくる悟が結構困っていた。
トゥルペトゥルペすると全然しっくりこなくて
なんか違うって感じになってしまう。
リリース後に、山下君か悟かどっちか忘れたけど
お客さんに、スポットライトのベースってベーシストに徹してますよね、的なことを言われたとか。
じゃあ他の曲はどうなんのよ、ということは置いといて
トゥルペトゥルペできないということは
つまり、ほぼルートしか弾けないのだ!!
それは確かにストイックにベースに専念しているように聴こえる。
(ベースって本来そういうもんだから)
これってなんでなんだろうね?と話していて
ひとつ行き着いたのが
この曲、山下ブログの通りずーっとパワーコードで
つまりほぼずーっと、ルートと5度の2和音だけなのです。
だからベースが動きまくって他の音が入るとものすごく悪目立ちしちゃう。
俺の曲だと変なコードが多くて普通に5和音とか当たり前なので
悟がフレーズを動きまくってもだいたい5和音のうちのどこかは通るからでは?
ということでした。
俺の曲がごちゃごちゃ散らかった部屋だとしたら
ミニマリストのめちゃくちゃ物の少ない整頓された部屋、みたいな。

あと、いつもは割とハイポジションでフレーズ弾きまくってる山下君も
ずーっと修行僧のようにパワーコード弾いてるので
その中でトゥルペトゥルペしてたら
それこそ独りパリピになって浮いてしまう。
あれだけ悟が普段弾きまくれるのは
実は小高コードと山下ギターのおかげだった、のかもしれない。

繰り返すけど前作の未来は今ここにから10年
その間に山下君は親父になった。
そしていざ歌詞を書こうとしてみて
あの頃の小高の気持ちがわかった。ほんとに子供のことしか浮かばない。
と思ったんだそう。
なので、最初に歌詞を読んだ時に
これは子供に向けて歌った歌詞なのだろうと思ったけど違って
実はそれは
ファンのみんなのことを思って綴られた言葉だった。
(広いこの世界は君のためにあるのさ、とか、子供に言いたくなるセリフだけど)
そう思って改めて読むと、ちょっとマイルドというか
そこが山下君らしいんだけど優しすぎる気がして
もう三歩いける気がする、と思わずLINEしたのです。
やっぱ最後に歌うのは俺だから、自分も気持ちを乗せて歌いたいので。
そしたら実はそもそも山下君の中で強い言葉というコンセプトがあったようで
まさにそこを言われてちょっとムムムとなったかもしれない。
でも随分書き直してくれてさらに良くなった。

全体の言いたいこと、テーマは俺も近い曲があるけど
同じバンドで同じ思いでも作る人が変わるとこんなに違うんだなあ、と。
細かいところの言い回しや言葉選びも俺とは全然違って面白い。
まさに山下壮だな~と思う。
これは、なんていうのかなあ
俺だけかもしれないけど
なんとなく、英詞の和訳を読んでいるような感じがするっていうか。
逆にこの歌詞を英訳して英語バージョンを作っても面白いと思ったり。

山下曲なのに、ザ・リフ!といったメロディもギターソロも、オブリなフレーズも何もない潔すぎるこの曲
スポットライトというタイトルは
ファンのみんなへ向けた
あなたが俺らを照らしてくれるスポットライトなんだ、という意味と
スポットライトはあなた自身も照らしている
あなたこそが主役なんだよ、という意味が込められていると思っています。
今度聞いてみよう(聞いてないんかい)