繋ぐは、2021年夏のみかん祭からライブでのみやりだした新曲で、今回やっと音源化できたということで楽しみにしてくれていた人も多かったんじゃないでしょうか??ライブでやり始めた時はいつ音源化できるかなんてアテはまったくなかったんだけど、それでも久しぶりの新曲をみんなに届けるということで気合いと気負いが大層入り乱れておりました。春から曲を形にし始めていたんだけども、メンバーにデモを送る頃にはもう6月に入っていて。前に何かで言った気がするけど、1曲入魂だとメンバーに響かなかった時に凹むのでビビって大体いつも何曲かデモが溜まってからまとめて送ります。どれかは響くやろ~という感じで。なのでこの時も3曲これは!ってデモを作ってメンバーに送って、その中から1番これだ!ってのを選んだのがこの繋ぐでした。ちなみに3曲とも俺としてはこれは!って曲だったんだけど、リノセントの曲を決める段でボツった曲もあります。そんなものです。あれは多分、もう世に出ることはないんだろうなあ。やっぱり、旬というものがあるので。かと言って小高ソロって感じでもない。
なんというか、リリースの予定はないとはいえやっぱりシングル感は絶対に欲しかったし、みんなにキタコレー!!と思わせたかったのでとにかくポップでポジティブでキャッチーで派手でわかりやすい曲を目指した。というと簡単そうだけど、これがなかなかムズカシイ…。なんと言っても逆に音源で聴けないわけだからライブでパッと聴いてピンときてもらわないといけない。ということは余計にわかりやすくポップでポジティブでキャッチーで派手でなければいけない。しかもザ・LUNKHEADでありながら新しいLUNKHEADでなければいけない。なんつー無理難題。こういう時よく山下君と笑い話するんだけど、まるでホームランのサイン出されてるみたいだよね、と(野球知らんという方に簡単に説明すると、バッターはベンチの監督から、バントとかヒットエンドランとか戦況に応じて戦術のサインが送られるんだけど、ホームランのサインというのは聞いたことがない。打てと言われて打てるものならみんな打ってる)。そういう感じでまず曲を作っていったんだけど、狙いすぎてもあざとくなるしそもそもそういう作り方はあんまり得意ではないのでもうとにかく数打つしかない。ホームランが出るまでひたすら打ちまくるしかない。なのでデモまでいったのは3曲だけど、曲のプロットで言えば有象無象なものが何十個とあった。それこそ夜中に真っ暗な中でiPhoneのボイスメモに録って。その中からやっとこれだというものができて、それをデモにして送って、それをメンバーで詰めて、そしてみんなの前で歌い、それがみんなの日々の一部になっていく。これは本当にすごいことだなあと思います。売れてるバンドが大手外食チェーンだとしたら俺らなんかは常連さんでなんとか成り立ってる商店街の古くてボロい街中華みたいなもので、逆を言えば良くも悪くもお客さんの顔がちゃんと見える。広告打つとか大きいプロモーションをする宣伝費はないけど味には自信ある。ふらっと寄ってくれた一見さんが2回来て3回来て、いつの間にか常連さん達と仲良くなって。気付いたら顔馴染みになってて。それはほんと、良くも悪くもなんだけど、そんな俺らだからできた曲なんだろうなあと思います。
曲としてはまずサビ前半のプロットが浮かんで、そこから膨らませていったんだけど、サビ後半のコード進行がちょっとオシャレでこれがだいぶ効いてると思う。
前半が
Fadd9→C→G→G#dim→Am→Gm7→C7
Fadd9→C→G→G#dim→Am→G
後半が
D7add9/F#→FM7→Em7→D#M7→Dm7→G
「さあ、どんな景色を どんな喜びをこの手で」のところ
おや??
D7add9/F#ってどこかでみましたね??
そうです。下北沢で出てきたA7add9/C#と同じコードのキー違いです。
そう言えば、ヒナタにもE7add9/G#が出てきます。
「それ以外(に~)」の()のところですね。
下北沢だとA7add9/C#のところがちょっと不思議な感じに聴こえたかもしれないんだけど、使い方というか、使う場所?なのかなあと思います。下北沢はその不思議な感じを敢えて狙ったんだけど、繋ぐだと同じコードでもあんまり不思議な感じはしなかったのではないでしょうか?(何なら次のFM7、Em7まで同じ)こんな風に同じコードでも前後のコードや表の小節か裏の小節かどうか、使う場所によって全然違う響きになるから曲作りって面白い。これも山下君とよく酒の肴にするんだけど、こういう使い方で響きが変わるコードを擬人化して、ヤンキーのあいつが雨の日に子猫拾ってた、みたいな。真面目な生徒会長が実は喧嘩最強、とか。ちなみにBメロにも一瞬出てきます。「ほら、目の前に」のところ。ブロック頭に持ってくると自然に聴こえるみたいです。不思議だな~。きっとちゃんと理論があるんだろうけど独学なのでなんでそんな風に聴こえるのかよくわからない。。
あとはもうほんとシンプルで、コードも6個くらいしか使ってない。なんといってもわかりやすくキャッチーを目指しているので、小難しくならないようになるべくコードは少なめに。ポイントポイントでお化粧コードを差し込むけどほんと隠し味のように。イントロのリズムインからも一聴ガシャガシャしてて各々好き勝手弾いてるようで実はコードの和音をバラしてるだけ、っていう。
Dm7/A→Em7→Fadd9
この剣切れるや(なつい!!)螺旋みたいな、もうちょっとディスコードな気持ち悪い音が入ってきても面白いけど、繋ぐの場合は実はシンプルな和音でしたっていうのが正解だったと思う。
歌詞は、送った3曲ともかなり早い段階で書けてた。その中でこの繋ぐは、どんな言葉から始めればいいんだろう?とちょっと迷った。随分長いこと待たせてしまった、それでも待っててくれたみんなにどんな言葉を送ったらしっくりくるんだろうか?って。で、結局そのままの気持ちを歌詞にしちゃった。それが1番伝わる気がして。ってその時点でもう繋ぐを選ぶ気満々やないか~い!っていう。メンバー間で繋ぐを選んだのも最終的に歌詞が決め手でした。そりゃそうなるよな~。
とにかく、前に向かっていける力を持った言葉にしたかった。誰かに向かって手放しに頑張れよ!1人じゃないさ!未来へ向かっていこう!みたいなのは嘘っぽいと相変わらず思ってしまうんだけど、俺がLUNKHEADを好いてくれるみんなからそういう思いを受け取っているってことは嘘じゃないから、それだったら言葉にできる、と。繋いだ手だったら、一緒にだったら、どんな未来もどんな悲しみがあってもすごい景色を高鳴る喜びを信じられると思って。そんな懐の狭いヘナチョコな歌詞だけども、みんなの日々の何かになってくれたら嬉しいです。
余談だけど2番のAメロの
「道端に転がる石ころみたいな誰にも気にされない日々を抱きしめてきたよな」
という歌詞。ドラえもんのひみつ道具に石ころ帽子というものがあるのをご存知だろうか?(大長編だと度々活躍する)まさに道端に転がる石ころみたいな存在になれる帽子で、姿が消えるわけじゃなく道端に転がる石ころみたいに気にもされなくなるという道具で、だから一旦気づかれちゃうと見えちゃうんだけど。その、石ころ帽子の消えるわけじゃなく見えてるのにまるで見えてないかのように気にされないって概念がなんだか面白いと昔から思ってて。石ころ帽子被ってなくても、そういう日、あるな~!と。見えてるはずなのに、見えてないかのように気にされない。それって消えるより寂しいことだなあと。藤子F不二雄先生はやっぱりすげえぜ!そんなことからこの歌詞が書けていたりします。そんなことかよ~!と思うかもしれないけれど、そんなもんです。それを金言にするか、それこそ本当にただの道端の石ころにするかは受け取る側次第で、世の中は実に気づきに満ちているのです。電車の中吊り広告とか、駅に貼られてるポスターとか、中華屋でチラッと見た週刊誌とか、商店街に流れていた知らない曲だったり、ラジオのパーソナリティがふと口にした何気ない一言だったり。

長々と堅苦しく書いてしまったけど、繋ぐはレコーディングしたものを聴いて本当にいい曲ができたなと純粋に思った。何しろ散々ライブでやってきてる曲だから、音源でもなんか勢いがある。初音源にしてREACT的な(ちなみに繋ぐはナハトムジークを録った時に一緒に録ったので去年の12月には音源化してました。実は)。繋ぐというタイトルも気に入っている。繋ぐというタイトルに関してはいつかどこかの何かで書いた気がするんだけど、手を繋ぐ、思いを繋ぐ、過去と未来を繋ぐ、いろんな繋ぐをこの一言に込めました。
この曲もいよいよリノセントの2番バッターとして世に放たれて、これからますます育っていくんだろうなとワクワクしてます。2番というと、1番が塁に出たらバントもできるし、コンパクトに打っていくこともできるし長打力もある。塁に出れば盗塁を狙える足もある。つまりどんな場面でも活躍できるポテンシャルを求められる打順で、繋ぐはまさにそういう曲にすでになりつつある。序盤もいけるし、MCからの繋ぎもいけるし最後セクションの爆発力もある。歌ってても気持ちいいし。いや~!楽しみだなっ!!

今回のブログ、無駄に野球例えが多かったのは、高校野球が始まったせい、なのかもしれない。
そうじゃないかもしれない。
でもまあほら、打線も繋ぐと言いますし。

おあとがよろしいようで…