とん水は下北沢一番街にあるとんかつ屋さんである。
あまりに俺らがとん水とん水言うので
下北沢でライブの日は
とん水がLUNKHEADのお客さんで埋め尽くされるようになってしまった。
いわゆる聖地巡りというやつ
だったのが
とん水があまりにうますぎるために
みんな今ではただのとん水ファンに。
なんならとん水行きたいついでにLUNKHEADのライブに来る
という人もいるかもしれない。

曲のテーマを話し合っている時に
ここはもうとん水作るしかないんじゃない?
と聖から提案があった。
そうだな、とん水作るしかないな。

ということであっという間に出来上がったTONSUI
ソーが
「お前が今まで作った曲の中で一番いい」
というくらいただただ名曲
そしてヨシソーの代表曲と言っても過言ではない。

1番の歌詞はしょうもないんだけど
(ほんとにとんかつもたこ焼きも醤油だけどコロッケだけはソースかけて食べる)
2番のBメロとかすごいいい歌詞

パイオーツ・オブ・カリビアンのギターソロがすごかったので
TONSUIもこりゃ相当すごいの来るぞ
と思ってたらある意味ですごいソロが来た。
まさかのウクレレ
完全にふざけてませんか??
これでいいんですか??
とソーに問い合わせたところ
ドヤドヤのドヤ顔で
「めっちゃエモいやろが」
と言われてしまった。
ああそうですね。

ある日、下北沢GARAGEでヨシソーがライブの時
お客さんが俺らにシークレットで
とん水のお母さんを呼んできてしまった。
逆シークレットゲスト
俺、目が小さいからか、黒目が濃いのか
奥ゆかしい二重のせいでまつ毛が下に向かって生えてるからなのか
サングラスが必要ない。
冬でも目がでかいソーは日光が眩しいからよくサングラスをしている。
俺は真夏の外でも全然必要ない。
だからただでさえ薄暗いライブハウスでサングラスをしていると
会場がよく見えない。
なのでとん水のお母さんが来てくれていることに気づかなかった。
音源までプレゼントしちゃったという。
なんてこった。
そんでカツ丼をふたつ差し入れてくれた。
俺もソーもそんなにお腹が減ってなかったので
ひとつをふたりで食べ
もうひとつはGARAGEのつぼっちゃんにあげた。

これがきっかけで後にえらいことが起きた。

2017年10月30日をもって
建物の老朽化に伴いとん水は45年の歴史に幕を閉じた。
11月頭には別れを惜しむ常連客のためにお別れ会が催され
大して常連でもないのに俺もそこにお呼ばれしてしまった。
店に入りきらない人人人
お向かいのお店も場所を解放してくれたり
お隣のこてつってラーメン屋さん(こてつも美味しい)も
チャーシューをオードブルにして差し入れてくれたり
大変な賑わいで
その中である常連さんが俺を見つけて
この人!この人!TONSUI作った人!!
と、ある人のところに俺を連れていった。
同じく常連のロンドンブーツ1号2号の亮さんだった。
俺、ロンブーの亮さんに両手で手を握り締められて
「TONSUI作ってくれてありがとう!!」
ってお礼を言われてしまった。
世の中いろんなことが起こるなあ。
さらに、45年間大将が着てきたハッピまで
「TONSUI作ってくれたから」って受け継いでしまった。
頭の歌詞とか実にしょうもない…
もっとちゃんと書けばよかった…
と思ったけど
閉店が決まってからは
常連さんたちが毎日夜遅くまでとん水で語らいながら
TONSUIを聴いてくれていたという。
で、毎回
とんかつには醤油だよ、のところで
「ソースだろ!」
たこ焼きにも醤油だよ
「ソースだろ!」
だけどコロッケだけはソースをかけて食べるよ
「なんでだよ!!」
ひさしぶりに食べた
醤油をかけて食べた
「ソースだろ!!」
と、突っ込んで盛り上がってくれていたらしい。
TONSUIのおかげで常連さんたちの寂しさが
少しでも和らいだのなら嬉しい。

とん水の常連さんは
場所柄なのかクリエイティブな人が多い。
勝手にTシャツ作ってとん水で売って
収益全部とん水に渡しちゃったり
あとカンヌ映画祭ばりのポスター作っちゃった人も


おわかりいただけるだろうか。
右下
音楽:LUNKHEAD
テーマソング:ヨシモン&ソーファンクル「TONSUI」
になっていることを。


ありがたいことです。。

ちなみにとん水は
あれだけ涙涙のお別れをしたのに
リアルに日々の昼飯夕飯を失った常連さんたちが
死に物狂いで新しい物件を探し
半年後にあっさりと新店舗で営業再開した。
そこまで含めてとても良いストーリー。

下北沢一番街
ここにひとつだけ
変わらないものがある