赤い公園、というバンドが彗星のように現れたのは
8年くらい前だろうか
毎日のように目に、耳にするようになった。
お世話になってるクロスロードスタジオでもレコーディングしてたらしくて
クロスロードスタジオのマダムが
赤い公園てバンドがさあ!めちゃくちゃかっこいいんだよ!!
と、会うたびに嬉しそうに言ってた。
そしたら、SMAPのシングル曲を赤い公園が作曲したという
すげーなーと思った。
一方で、全然意識してなくテレビでJoy!!を聴いて
めちゃくちゃかっこいい曲だなあ、と思ってた。
そしたらそれが津野米咲の作った曲だった。
え!?これなの??
すげーなー!!!!!!と思った。
赤い公園の曲は、ちょっと苦い、と思う。
チクリとする、というか
だけど甘いっていうか
不思議だ。コード使いとかメロディとか
ポップでキャッチーなのに
どういう風に生きたらこんなの思いつくのだろうか
歌詞だけじゃなく、音が
苦くてチクリとして甘くて
こんなバンドは聴いたことがなくて
いやもう本当にすごいとしか言いようがなくて


下北沢GARAGEという場所は
俺らガレージ出身バンドマンにとって部室のような場所で
ふらっと行けば誰かいる、みたいなそんな場所で
ある日、ガレージに行くと津野米咲がいた。
で、ガレージの大橋さんに紹介してもらって
俺らもクロスロードスタジオにお世話になってるって話したら
表情がぱあっと明るくなって
話が盛り上がって
それで仲良くなった。

津野米咲は尊敬するバンドマンで作曲家だけど
それ以上に
会うたびに脱出ゲームの話ができるのが
嬉しかったし楽しかった。
携帯の脱出ゲームを
ありとあらゆるやつを
俺もまいさもダウンロードしてて
だからそれが本当に楽しかった。
あれがよかったよね
あれは難しかったね…
ヒント見ちゃった…
俺はヒント見ずにクリアしたぜ!
ってそんなマニアックな話を普通にできて
そんな人は他にどこにもいなかったし
多分二度と現れないんだろう。
本当に、あらゆる脱出ゲームの話が通じたのです。
俺は携帯の容量がなぜかいつもギリギリなので…
クリアしちゃったやつはよっぽど気に入ったやつ以外消しちゃうんだけど
まいさはメーカーや作者ごとに
全部グループに分けて整理してちゃんと取っておいてた。

津野米咲が死んだらしい
自ら命を絶ったらしい

本当なのだろうか

まいさはいつもニコニコしてた
死ぬ時、どんなことを思ってたんだろうか

死にたいと思ったことがないわけじゃない
でも苦しいのは嫌だから
楽な死に方を調べたこともある
けど俺は生きてる
やっぱり死ぬのは怖かった
死ぬのが怖くない人なんているはずがない
だけどそれでもそっちを選んでしまった人の
気持ちをわかりようがない
死にたくて死んだのかもしれないし
生きたくて死んだのかもしれない
やっぱやめときゃよかったと思うのかもしれないけど
救われながら死んでいくのかもしれない
だから俺は責められない
そんなの誰も責められない
だけど死なないでいて欲しかった
もっと一緒に生きたかった
ふらっと会えた時に
あの脱出ゲームやった?
って話を
これからもしたかった