空中線は
アンテナ=エアリアル
って意味で
ある意味でこのアリアルってアルバムの根幹を担ってる曲かもしれない。
アリアル(存り、在る)
っていうアルバムタイトルは
存在ってものは
糸電話みたいなもので
お互いがいて初めて成立するものだな
と思ってつけたタイトルで
造語なんだけど
(余談だけどこれもまた徳間の新井君が
アリアルってめちゃくちゃいいタイトルじゃないですか~!!
とはしゃいでいた。徳間からのリリースじゃないのに)
そしてアリアルってタイトルが浮かんだ後で
空中線っていう言葉をテーマに歌詞を書いた。

曲ができたのはスタジオで何かの曲を練っていた時か
それともライブの練習の時か
みんなが休憩でタバコを吸いに外に出てる間に
一人でスタジオに残ってギターを弾いていた。
それが冒頭の俺のアルペジオで
ヘッタクソながらピックじゃなく指弾きをしている。
そこにみんなが戻ってきて
それいいじゃんってなって
セッションしながら作っていった。

この頃山下君が新機材を投入して
ギターでメロトロンとかストリングスの音が出せる
というやつだったんだけど
めっちゃ急すぎて
レコーディングの前日とかかな?
スタジオに持ってきて
全然使いこなせてなくて
怨霊の雄叫びみたいな
これ以上不快な音があるんかというくらい
地獄サウンドを奏でてて
ふと悟を見ると
今まで見たことがないくらいしょっぱい顔をしていた。
で、レコーディング
この頃はもうだいたい、ベーシックが録れたら
先に歌を録っちゃってから
山下祭を始めるのが恒例となってたんだけど
(山下君のダビングが終わるのを待ってるのがストレスなので)
で、無事に歌も終わって山下祭
やはり四苦八苦していて
ギタリストあるあるで
ギタリストはハマると時間の流れを忘れる。
どんどん時間が過ぎる。
桜井さんがよく
ドラムが早く終わればその分、後の作業に余裕が出るでしょ
と言うんだけど
で、最近は歌録りもあっという間に終わるんだけど
その巻いた時間をきっかり戻してくる。
悟を見るとやはりしょっぱい顔をしている。
ストリングスとか打ち込みでええんやけどね…
でも本人がどうしてもってなっちゃってるから仕方ないね…
と陰で俺らが話していたことは
山下君は知らない。
でも結果すごい良い音が録れたので
結果オーライなのかな??
1サビから入ってくる山下君のストリングスギターが
まるで寄せて返す波みたいでとても良い。

この曲、桜井さんがドラムを2パターン叩いて
どっちがいい?みたいな話になって
クロスロードスタジオの井上さんが
これ、どっちもいいからどっちも使いましょう?
と提案してくれて
なので実は左右ステレオで桜井さんのドラムが別パターンで鳴っているのです。
イヤホンで聴くとよく解るかな?
絶妙にさりげなく16ビートになってます。
これがすごいアーバンでよい!!

アレンジを詰める段階で
俺の指弾きから始まってどこからバンドインしてくる?
みたいな話になった時
悟が
ワンコーラスまるまる小高でいいんじゃない?
と言い出して
まじですか…?
指弾きなんかしたことないんですけど…!!
と思ったけど、結局そうなってしまった。
完全に素人指弾きなので大層お粗末だし
ライブでやる時もめっちゃ緊張するし
みんなが入ってきてくれるとめちゃホッとする。。

歌詞は、月明かりに踊る君を僕はただ見ていた
のブログで書いた通り
あの曲の対になっている。
これはもう、ただ妄想でしかない、というか
そうであったならいいな、というか。
その人の本当の気持ちなんてわからないから
でも、こう思ってくれてたんじゃないかな、っていう
それだけのことなんだけど
だから特筆して何か言うことはまるでないんだけど
でも俺はこの曲の歌詞がとても気に入ってて
歌詞、というか
歌詞が早く書けてたのもあるけど
本当に音と言葉がひとかたまりになってる感じが
とても好きで
どこまでが音でどこからが言葉なのかよくわからないくらい
全部でひとつみたいな
とても優しい曲だと思う。

結局お互いのことなんてわかりあえはしないけれど
でもわかりあうことは大事じゃなくて
わかりあえないからこそ一緒にいられることが大事なんじゃないかっていう
わかりあえなくても認めあえるっていうか
存在を分かちあうっていうか
ほんと糸電話みたいな
お互いがピンと張ってないと途切れてしまうような
静かだけど張り詰めた、儚くて脆くて切ない想い
あの頃、俺はめちゃくちゃ踏ん張って立ってたなあ。
糸が緩まないように。
ただ、立ってた。

こういう曲は
ハンバーグの人参みたいなポジションになりがちだけど
意外に未だにライブで結構出番ある。
俺も好きだ。
緊張するけど。