2015年の家のツアー中だったか
ずっとリフが出来そうで
リハーサルの時とか
楽屋で待機してる時とか
ずっと探ってたフレーズがあって
それがこの曲のリフだった。
そこからイメージを膨らませていって
曲を作っていったんだけど
デモの段階では音源とは少し違ってて
0:08からのバンドインの
ズドドドド~とくるところが
もうちょっとのっぺりしてて
スタジオでアレンジを詰めてる時に
桜井さんが、ここはもっとアクセントつけた方がいいんじゃない?
ってアイデアをくれて
それでああいう
ドーンズガーンドーンズガーンドンガン
ってアレンジになった。
冒頭のリフはその
ドーンズガーンドーンズガーンドンガンに合わせてるフレーズで
ビートインしてからは少しリズムが変化してるのだ。
そこも曲の展開としては非常に重要なところなのだ。
このリフははっきり言って
めちゃくちゃ難しい。
1弦だけで弾ききってるんだけど
1弦の14フレットのF#から始まって
開放のEを使いながら階段的に下がっていって
最後は1弦3フレットのGで終わる。
その半拍後にまた14フレットのF#にいなくてはいけない。
これは本当に大変。
技術としてはそんなに難しいフレーズではないけど
この3フレGから14フレF#に飛ぶのがめちゃくちゃ難しい。
でも、思いついちゃったし
弾くの俺じゃないしな~と思って
山下君にこの時も頑張ってもらった。
大変そうだった。
この曲はみんなアレンジが妖艶だな~と思う。
ベースもエロいし
ギターもエロいし
ドラムもエロい。
多分、歌詞もアレンジしてる中で書けていったので
歌詞に引っ張られてるのは多分にあると思う。

歌詞の話をすると
これはとても長くなりそう。
いろんな複合的な要素で書いてて
歌詞を書く時は
いろんな書き方があるんだけど
まず、自分の中でお話を考えて
その自分の中で浮かんだお話の
その後ろの風景を描いたりすることが多い。
で、月明かりに関しては
海っぺりの
砂浜とかじゃなく
コンテナとかがいっぱい積まれた港っぽいとこかな
漁港とか、埠頭?
そういうシチュエーションで
僕と君がいて
関係性としてはビミョーな感じで
恋人未満というか
こっちはもう盲目的に好きだけど
向こうは悪からず思ってるぐらい、みたいな
どっちなんだろ?的な
で、向こうは踊りを踊れる人で
これはもう本当に
半分はフィクションだけど半分は本当のことだから
説明するのも恥ずかしい。
生きてると色々あるなあ。

中学生の頃
Mr.Childrenの車の中でかくれてキスをしようって曲が好きで
それはもう好きで好きで
誰もいない月の浮かぶプールに忍び込んだりしたことないけど
想像するだけでもう胸がギュンギュンとなった。
俺はその頃童貞で恋愛経験もなくて
だからこそ?ものすごいそのロマンチックな情景に憧れた。
ああいう歌詞を書きたかった
というのは正直あると思う。

君は闇を隠して笑い転げている

ってところがすごく自分の中では大事な歌詞で
二人しかいない埠頭で
その人は笑い転げながら踊り続けてるわけです。
いろんな悲しみとか傷を抱えたまま
それを僕は何もできずにただ見ている。
結構、これは異様な光景だ。
その異様さが
自分の頭の中ですごく綺麗で
この曲で映画作れるな、と思ったくらいで

歌詞で見るとこの人
たんすたんたんすたんすたんと
すたんたんすたんたんすたんと
ずっと踊ってるんですね。
飽きもせず
ずっと踊ってる。
そこからの最後のたたみかけが
ものすごいストーリーになってて
最後笑い転げちゃってるから。
闇を隠して
そんな人を月が照らして
だけどその月もその人の闇は照らせない。
そして僕はその姿がこの世のものじゃないくらい綺麗に見えて
魅とれちゃってるんです。
魅とれる、は造語です。
なんていうか
魂抜かれるほど見とれちゃってる感じっていうか
そういう感じ。
好きで好きで好きで好きでどうしようもないほど好きだけど
その人と自分の間には膜があって
どうしても触れない、ような。
どれだけ近づいても
その闇に自分が触れることは許されない、ような。
だけども、それでも
今、ここに自分がいることで
その人が馬鹿みたいに笑い転げてくれるのなら
自分は使い捨てでもピエロでもジャガイモでもカボチャでも
なんでもいい、みたいな。
それだけでもう十分満たされる、みたいな。

そういう恋をしたことが
あります。

そしてこの曲は
空中線と対になっているという。
この曲は「僕」目線
空中線は「君」目線
アルバムの中でそういう描き方をしたのも初めてだった。

この曲のMVをフルで見たい、という人がいるけれど
これはそもそも
アー写撮影の時に
カメラマンのインテツ君がノリでワンカメで撮ってくれたやつで
ワンカメでフルコーラスは画的に持たないってことで
そもそもワンコーラスしか撮ってないんです。
でも、とてもかっこよくて好きです。 
そして山下君の手元は大ウソなので
これ見てコピーしようと思う人がいたら気をつけて。
‎LUNKHEADの"月明かりに踊る君を僕はただ見ていた"
‎曲・3:44分・2016年
music.apple.com