ある日、街中を歩いていて
どこかのスポーツジムの軒先に置かれていた大型テレビで
そのお店のPR映像が流れていて
そのBGMの曲(インスト)がなんかかっこよくて
こういう全員で同じリフ弾く曲なかったな~と思って
で、家に帰ってこんなんだったけかな?あれ?違うな?
と思いながらギター弾いてたらできたのが懺悔室のリフなのだった。
そこからイメージを広げていって
こういう展開にしたいな~というイメージありきでサビを作った。
リフ~AメロはEmで
サビはメジャーCなので
これは属調と呼ばれる転調かな?
サビからリフに戻る転調の感じが
なんかワルい感じがして好き。

僕たちには時間がないのブログで書いたけど
懺悔室は最後のレコーディングで録る3曲のうちのひとつで
当然、アレンジを詰める時間が少なかった。
けども、こういう曲なのでデモの時点で構成がガチッとできていたこと
デモのアレンジがしっかりしてたこと
その上でバンドアレンジする自由度が高かったこと
(Aメロとかみんなアドリブ)
などなどが功を奏したのか
ほとんど行き詰まることなくススッとアレンジが固まった。
ぐるぐるの前例があったので
音源では俺もギターをそれなりに弾いてるけど
これはライブでは俺はハンドマイクになるのだろうな…
と思いながら弾いていた。
という話を直球デスク石川に話すと
これはもう小高はハンドマイク以外ないっしょ
と、当然のように言われた。
ですよね。

リフは今ライブだと壮は6弦一本で弾いてるみたいだけど
俺が考えた状態だと6弦と5弦を使って弾いていて
俺が考えた通りにまず弾いてもらってたんだけど
壮は最初、弾かない弦は他の指でミュートして複弦をかき鳴らし
結果1音だけ音が出るというアベフトシスタイル(俺がそう呼んでるだけ)で弾いてて
アベフトシスタイルだと単音でもミュートした弦も鳴るので音が太くなって
男らしい音色になる。
実際俺も自分のパートで単音を弾く時はアベフトシスタイルが多い。
でも懺悔室の壮パートの場合、めちゃくちゃ音が歪んでて
アベフトシスタイルだとミュートした弦もボッと鳴りすぎてしまい音が濁るので
複弦で弾かず1音1音丁寧にその弦だけ弾く感じでオナシャス!
と頼んだ。
日本中のLUNKHEAD弾いてみた勢のみんな
ここ、テスト出るからな。
ちなみに壮はリアピックアップで弾いてて
音像の差を出すために俺はセンターピックアップで弾いている。
これもよく聴くとわかると思う。
最初壮だけの時はリア特有のブリッとした音だけど
バンドインで俺のギターが混ざるとジャズマスターのセンター特有のジャリっとした感じが足されてグッとレンジが広がって聴こえる。

この曲もやっぱリズム隊がすごい。
2:27あたりから2:49あたりまで
20秒以上桜井さんずっと16分で叩きっぱなしなんだよな…
よくやるなあ。
疲れないのかな?
アウトロのリズムが変わるところで悟がフィルター踏むのも好き。
あの悪さがすごいかっこいい。
え!これ何やってんの?めちゃかっこいいじゃん!と言ったら
どうもエフェクターをかましてるだけみたい。
でもすごい、大正解だと思う。

間奏のコード進行とか、結構凝ったと思うんだけど
もう随分この曲のギター弾いてないので忘れてしまった。
ちょっと検証してくる



…今検証してみたところ
どうもコードとかじゃなく
Eの7thスケールでフレーズを弾いてるだけのようです。
音源だと俺と壮でハモリになってるんだけど
ライブだとどうしてんだろう?
7thスケールとはなんぞや?
メジャースケールと俗に言われる
例としてハ長調のドレミファソラシドだと
まあいわゆる明るい感じの普通のスケールです。
世の中のだいたいの曲はこのメジャースケールで出来てます。
このメジャースケールの長7度のシだけが短7度のシ♭になったものが7thスケールです。
ドレミファソラシ♭ド
これが長3度のミまで短3度のミ♭になってしまうと
今度はこれはマイナースケールと呼ばれるスケールになってしまいます。
ドレミ♭ファソラシ♭ド
弾いてみると暗い響きがよくわかると思います。
ここから
ド、ミ♭、ファ、ソ、シ♭、ド
だけを抜くと
1オクターブが5(ペンタ)音で構成される
ペンタトニックというスケールになります。
いわゆるロックの王道スケールなので
適当に弾いてるだけでなんかロックっぽく聴こえます。
7thスケールの強みは
このペンタトニックとメジャースケールの美味しいところを掛け合わせた響きにある、と思ってます。俺は。
メジャーかマイナーかを決定づけるのは
3度が長か短か。ミかミ♭かなので
7度が長か短かは実はあまり関係ない。
で、7度が短だと急にそこだけロックっぽくなる。
なので7thスケールでフレーズを弾くと
ドレミファソラまで普通にメジャーのキャッチーな響なのにシ♭ドで急に男らしくなる
まさにペンタトニックとメジャースケールの良いとこどり。
懺悔室の間奏でいうと
キーはEなので
ミファソ#ラシド#レミになります。
壮のフレーズは前半
ミ〜ソ#〜ラ〜シ〜
と普通にEメジャースケールの範囲です。
それまでのEのペンタトニックでゴリゴリ弾いてたところから一転
とても明るく開けた感じになってるのがわかるかと思います。
そこから後半
ソ#〜ラ〜レ〜ミ〜
ここのレが短7度
急に男らしい壮大な響に変わるのが伝わるでしょうか。
悟は多分Eのペンタを基準にトゥルペトゥルペしてるんだと思います。
桜井さんはひたすらズドドズドドズドドドと重機のようでした。

ここでベースまで7thスケールに付き合わず
ベースはペンタトニックでロックなままで
その上でギターが7thにいく方が
音像にハデさが出たり
その逆もあって
演奏はメジャースケールなのにギターソロだけマイナーにいったりとか
結局耳で聴いて気持ちいいかどうかなので
正解が無限にあるのが音楽の面白いとこです。
後で、なぜそれが心地よく聴こえるのか
その理屈を検証していくのも楽しいけど。

歌詞は
レコーディングに向けて3曲書かなきゃいけなかったうちの
最後にとっておいて
僕たちには時間がない、玄関を書いた後で
デザートをいただくような気持ちで書いた。
僕たちには時間がないも玄関も
真面目な曲なので割と神経を使う。
その最後にオンドリャァァアアア!!
みたいな感じで書いたので
ほんとに30分ぐらいで書けたと思う。
読んでもらった通りなので
敢えて説明することもあんまないかな。

ただこういう曲は歌録りが難しくて
何回も歌っても絶対良くならないので
ファーストテイクにかかっている。
サビは何回か歌ったし、なんならダブってるけども
Aメロのポエトリーリーディング(と呼べるのか?あれ)との差を出したくて
サビを敢えてダブらせた。
(教会にある懺悔室の設定なので一応サビは牧師さん?神父さん?的な)
レコーディングのブースでこのノリで歌うのは
相当自分を高めていかなきゃで
しかも一発勝負なので疲れる。

最後のサビの前のピーーーのところ
当時いろいろ
こう言ってるんですか??
と聞かれたりした。
い(ピーーーーー)たーい!
って聞こえるので
いっそ死んでしまいたーい!
って言ってるんですか?とか。

ちょっとこれは本当に誰にも言ってないかもしれない。
取材とかでも。
本当にあの時コンソールにいたエンジニアのクワマンとメンバーしか知らないかもしれないし
なんならメンバーはきっともう何言ったかも覚えてないだろう。
そのくらいしょうもないことを言った。
クワマンだけは爆笑していた。
そしてそれをこれからも公表することはないだろう。