月の城はイントロのギターリフがまず浮かんで
そこからABサビと膨らませてできていった。
俺と壮の付点八分のディレイをかけたギターが
ハモったりユニゾンしたり
近づいたり離れたりしながら
フレーズが進んで行く。
全体的に淡々と感情を押し殺したような
けど漏れちゃってるような
そんな曲にしたかった。
メロディは最初からそこにあったみたいに
自然とできていったように思う。
間奏の頭の
俺と悟のユニゾンのところは
帰り途の間奏みたいな雰囲気にしたくて
フレーズを考えた。
あそこ、ライブだと
俺が結構ギターのポジションが低めで
で、ハイポジなのに俺小指が短いから
弾きづらくて
ものすごい前かがみになってしまう…
最近どんどんギターのポジションが上がってきてる気がする。
そのあとのダハー!とした間奏は
コード進行がちょっと変で
Cadd9→Em→D→Cadd9→
A→Asus4→Bm7→F→D→B
ここの
A→Asusu4の部分がだいぶキモで
壮が弾いてるオクターブのフレーズは
ほぼほぼデモ通りだと思うんだけど
浮かんだフレーズにコードを当てていったら
こういう風になった。
自分でもなんじゃこりゃ?不思議だな~
と思ったけど
何か理論があるのだろうなあ。

自分で言うのもアレだけど
本当に綺麗な曲だなあと思う。
めちゃくちゃ好きな曲です。

LUNKHEADのリズム隊は
桜井さんも悟も
隙間があったら詰め込んじゃうタイプなので
こういうマッタリした曲こそ
実はとっても忙しい。
桜井さんなんか
ほぼほぼ16で刻んでるので
よくリハスタで練習してる時に
月の城終わったらハアハアしてて
誰だこんなアレンジにしたやつはー!!
って言ってて
(それはア・ナ・タ)
ベースもよく聴くと
よくこれで曲が成立してるね☆
ってくらいに弾きまくってるね!

歌詞は、何だか
いろいろファクターがありすぎて
解説するのが難しいなあ。
中村航さんの僕の好きな人が、よく眠れますように
っていう小説があって
それがまずひとつ
テーマとしてあったかなあ。

月って公転と自転のバランスで
常に表(俺らが見てる側を表とするなら)しか
地球には向かっていないので
月の裏側ってのは誰も見たことがないそうです。
月の裏側の二人だけの城っていうのは
つまり誰にも見つからない秘密の場所
二人だけにしか知りえない場所
でもそんな場所はきっとなくて
なので手の届かない月の裏側っていう
叶わないと知ってる願い
いつか終わると知ってる夢
みたいな
その象徴としての月の城。

二番の
真っ暗な海の底で二匹の魚になって
互いの温もりだけを頼りに生きていくような
のところは
ピンときた人がいるのかどうなのか?
昔スペシャモバイルで三ヶ月コーナーを持してもらってた時の企画
LUNKHEADメンバーリレー小説
「ときめき☆マモリアル」の中で出てきたワンシーンを元にしてます。
書いた当時、これめっちゃロマンチックな表現やな…と自分で思ってて
いつか歌詞にしたい…と
で、歌詞を書いてる時に
キュピーン!!と思い出して
使わせてもらったんだけど
ここの部分すごく気に入ってて

深海魚って、どうせ真っ暗だから
目も退化してて
光のない世界で独りぼっちで
どうやって仲間に巡り会うのだろう?
といつも不思議だった。
けどちゃんと交配して子孫を残してるんだから
ちゃんとうまくできてるんだろうけども。
ということを昔からよく考えていた。
でも、何も見えない真っ暗闇の中で
誰かと巡り会って恋に落ちるって
とてもロマンチックなことだと思いませんか。

あと頭の、雪残る晴れた道、のところ
お客さんに、雪が出てくるの珍しいですね
ってリリース当時言われたことがあって
確かに珍しい、というか初めてだったかも。

あの年、歌詞を書いてる頃
東京にものすごい雪が降って
めちゃくちゃ積もっちゃって
ヒーヒー言いながら子供を保育園に送り迎えしてて
それであの歌詞になったっていう…

なのであの時雪が降って積もってなかったら
月残る晴れた道、になってたのかも。
実際迷ったんだけども
でも、雪の残った晴れた道って
めっちゃ歩きづらくて
なのでそっちの方が
君に会いに行ってる感じがするな、と思って
雪残る晴れた道、にしました。

積もった雪がアイスバーンになってて
そんでしかも晴れてるから路肩の雪も溶け出してて
地面はツルツルのベシャベシャで
こっちは苦労して歩いてるのに
空には優雅に鳶が飛んでて
昨日までの雪が嘘みたいに空が青く高くて
幻みたいな白い月が浮かんでて
その月の裏側は誰も見たことがない