メメントモリという言葉は
ラテン語で「死を想え」
自分がいつか死ぬことを忘れるな
という意味で
元々はキリスト教の言葉だそうで。
俺がメメントモリという言葉を知ったのは
高校の頃、Mr.Childrenの曲からだったんだけど
死を想え、という言葉の強さから
解釈の仕方がいろいろあるみたいで
でも元々は
いつか死ぬ=だからこそ今をしっかり生きよう
みたいな前向きな教えだったようです(諸説あり)
2012年
ボビーが死んで
大学の理工写真部の仲間が自殺して
バンド仲間が自殺して
身の回りの人達が突然いなくなってしまった。
誰かが死ぬ、ということは
生き残った人がいる、ということで
当たり前だけど
生き残った人達はこれからも生きていかなければいけない。
悲しみや後悔を抱えたまま。
でも、悲しみや後悔を抱えたまま
喜びを感じることはまるで罪みたいに
死んでいるように生きていくのは
あまりに残酷じゃないか、と思った。
生き残ってしまった人達を
自分自身も
他人事のように見ている自分がいて。

悲しみや後悔を抱えたまま
それでも俺らは生きていて
それでもそばに大事な人が生きていて
悲しみや後悔を抱えたまま
それでも生き残った俺らは
笑ったっていいじゃないか
幸せになったっていいじゃないか
悲しみや後悔を抱えたまま幸せになるのは
不幸なまま目を閉じて死んだように生きることより
逆に辛いことかもしれない。
それでも。

そういう中でメメントモリの曲達は出来ていって
アルバム名を考えなきゃ、の段になった時
アルバムの曲達から
キーワードをいろいろ考えていたのだけど
「生」と「死」しか出てこなくて
そしたら自ずともう
メメントモリというタイトル以外
考えられなくなった。
そういう話をしたら
メンバー、スタッフみんな
そしたらもうそれしかないよな、と。

で、楽曲も出揃って
アルバムタイトルも決まって
そこから、何か冒頭のSE的なものがあるといいね
って話になって
そこからメメントを作った。

メメントの意味は想う、モリは死
なんだけど
メメントには「形見」という意味もあるみたいで
なんか、宇宙の果てや深海の底で
もし俺が独りぼっちで死ぬとしたら
最後に誰を、何を思うかな
と想像しながら曲を作っていった。

ピアノは全部打ち込みなんだけど
前にも書いたけど
ピシッと打ち込むと
機械~って感じになるので
1音1音ひとつずつ音をずらして
わざとヘタクソにして人間ぽくしている。
ここは小指だからちょっと弱め、とか。
テンポも感情を込めるところはタメるから、と遅くしたり。
かなり細かくテンポを変えて
人力っぽく聴こえるように頑張った…!!
俺がピアノを弾けたら良かったんだけど。

ソナーみたいなイメージのギターの
ポーンて音や
呼吸音みたいなイメージのノイズや
宇宙の果てや深海の底にいるみたいな
ズブズブズブっとしたノイズや
めちゃくちゃ凝ったなあ。
頭の「メメント」って声の前に
カセットテープを再生したようなノイズを入れたりとか…
作ってるうちにどんどん自分の中でストーリーができていって
ピアノのフレーズも最初とまるで変わったし
凝りだすと止まらないタイプです…
メメントに関しては全てをうちのPCで
ロジックを使って作りました。
これを1音1音ちまちま打ち込んでいったかと思うと
ヒマか!!
と思ってしまうくらい容量の悪い作業だけど…
そして作ってる時はめちゃくちゃ行程がタイトだったので
全然ヒマじゃなく
ほとんど寝ないで作っててトランス状態だったんだと思う。

メメントのピアノは
自分の頭の中に鳴ってる音を思うままに打ち込んだので
多分、人間じゃ弾けない指の数になってる。
誰か、メメント弾いてみた動画
あげてくれないかなあ?

そういえば
頭のメメントって言う子供の声や
途中で出てくる子供の笑い声
あれ、誰の声ですか?って
聞かれたことが一度もない。
言わずもがな、なのかな?
あの声は実はiPhoneで録ってて
そしたらあまりに音が良すぎるので
ちょっとオーバードライブかけて
ラジオボイスっぽく歪ましてるんです。
すげーなiPhone。

みゆきのブログで小林太郎君の話が出てきたけど
あの後何度か一緒にライブをする機会があって
メメントモリも小林太郎君に渡して
そしたら連絡くれて
メメントを30分くらい聴いていたい
っていうくらい好きです
って言ってくれて。
俺もちょいちょい
延々繰り返してメメントを聴いてる日が未だにあります。

たった1分半の
歌もない曲だけど
自分が作ってきた200曲近い曲達の中で
小高芳太朗として好き、とか
LUNKHEADとして好き、とか
ライブでやるのが好き、とか
自分で作った曲として好き、とか
メロディが好き、とか
歌詞が好き、とか
アレンジが好き、とか
いろいろあるけど
トップ3に入るくらい
実は好きな曲だったりします。